日本航空(JAL/JL、9201)が協賛し、ドローンの優れた操作技能者を認定する「ドローンPROパイロット技能認定会」が5月12日、成田空港近くの千葉県多古町で開催された。12日は28人が参加し、1人が合格した。
—記事の概要—
・3つの演技で認定
・ドローン操縦士育成を事業化
3つの演技で認定
同認定会は、ドローン操縦の正確さを技能試験で認定し、一般的な合格率は7パーセント。ドローンを販売するWorldLink&Company(京都市)と、ドローンを使った空撮など手掛けるRave Project社(レイブプロジェクト、北海道旭川市)が共催し、2016年にスタートした。今回で15回目の開催となり、JALは2018年から協賛している。
今回のPROパイロット技能認定会は、現場での対応力も試験項目となるため、審査対象となる演目を事前に公表せず、当日に発表した。12日の認定会は一般の会社員など、予選に28人、決勝に11人が出場し、予選と本選で3競技ずつで競った。
予選ではホバリングする「4ポイントピルエット」や、機首を進行方向にしたまま8の字を描く「ホリゾンタルエイト」など3競技、本選では予選よりも難易度を上げた3競技を試験。いずれも「優」「良」「可」の3段階で評価し、すべてが「優」か、「優」が2つで「良」が1つの場合に合格とした。
合格したのは1人で、東京都の青山祐介さんが合格した。合格寸前の優秀者に与えられる「シード権」は、個人参加となった野坂和宏さんが獲得した。シード権は予選が免除となり決勝から出場できる権利で、後日開催の認定会で1回のみ使える。今回合格した青山さんもシードでの出場だった。
ドローン操縦士育成を事業化
JALは2017年から、社内起業家オーディション「創造の翼」をスタート。新たな事業を生み出す人材の発掘や、挑戦する社内風土の醸成を目的とし、毎年1回開催している。
1回目の「創造の翼」で選ばれたのは、JALインフォテックの高田淳一さんが提案した「ドローン操縦士養成事業の運営」。高田さんは現在、JALの事業創造戦略部に異動し、ドローン事業推進のマネージャーを務める。
高田さんはドローンについて勉強する過程で、同認定会を知った。JALとして協賛する理由について「安全に対して高い意識で取り組む姿勢に共感した」とし、「同協議会がドローンの操縦技能だけを審査するなら、協賛はしなかった」と振り返った。運営をサポートしながら、空を飛ぶ互いのノウハウを補完し合っている。
協賛してから3回目となる今回の技能認定会では、前日の11日にJALのボーイング767型機の機長による特別講座も開かれた。過去2回の認定会に参加した高田さんは、JALとして提供できるノウハウのひとつとして、特別講座の開催を提案した。今回初めて実現させ、今後は技能のほか、認定会への試験科目に座学の組み込みなど、検討を進める。
※高田さんの「高」は「はしごだか」
関連リンク
日本航空
SkyLink Japan
Rave Project
社内コンテストでドローン操縦士養成の事業化
・JAL、社内ビジネスコンテストで「ドローン操縦士養成」選出 2年間で事業化目指す(17年12月27日)
ドローン導入事例
・ANA、福岡・玄界島でドローン配送の実証実験 20年以降の事業化目指す(18年11月22日)
・エアバス、機体検査にドローン 格納庫を自律飛行(18年4月13日)
・ANA、ドローンで被雷点検 伊丹で787使い検証(17年2月15日)