米国連邦航空局(FAA)は現地時間3月12日、バッテリートラブルにより運航を一時禁止する耐空性改善命令(AD)が出ているボーイング787型機について、改善を行ったバッテリーシステムの認証計画を承認したと発表した。新システムを搭載した2機の787の試験飛行も許可する。(お知らせ:内容を追加しました)
ボーイングは2月下旬にFAAに対し、8つの独立したセルで構成されるバッテリー内で隣接するセル同士の熱を遮断する構造の導入や、セルが全焼した場合も機体を保護する仕組みを改善策として示している。
FAAによると、新システムにはバッテリー内でのショート発生を最小限に抑えるため、バッテリーコンポーネントの再設計や断熱性の高いセルの断熱材の採用、通気システムの追加などが含まれるという。
ボーイングによると、主に3つの改善策で構成される。1点目はバッテリーの設計改良で問題発生を防止し、万一発生した際も拡大を防ぐこと、2点目はバッテリーの機能性向上に加え、製造やテストのプロセスを改善して品質を向上すること、3点目として、バッテリーに想定外の問題が発生しても、機体や機内の乗員乗客に影響を与えない新たな格納・排気システムを導入することとしている。
設計については、熱や電気を遮断する新絶縁体の追加などを行うとしており、製造やテストのプロセス改善には、バッテリー組立前でのセルの検査をより厳格にすることなどを挙げている。また、バッテリーの機能面では電圧範囲を縮小、ケース内やバッテリー内での出火を防ぐ新型ケースの採用も提案に含めているという。
FAAでは、今回の決定について787の運航再開の可否を評価する最初のステップと位置づけており、機体と乗客の安全性を満足に保証できない限り、同機の運航は再開できないとしている。
試験飛行に用いる787には、新システムのプロトタイプを搭載。地上や上空で新システムの動作確認を行う。試験飛行を行う2機のうち、1機で新システムの検証を行い。もう1機では今回のバッテリー問題とは別に、エンジンの性能向上テストを実施する予定。
787のローンチカスタマーで世界最多の17機を保有する全日本空輸(ANA、9202)は、Aviation Wireの取材に対しFAAの認証計画承認について「安全の担保が大前提だ。一日も早い運航再開に期待している」と述べた。7機保有する日本航空(JAL、9201)は「新たなステージに進んだと理解している。今後も関係者と連携して対応を進めていく」とコメントした。
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