ボーイングは現地時間4月29日(日本時間30日)、墜落事故が相次いだ737 MAXについて、事故原因になったとみられる翼と対向する空気の流れの角度「迎角(むかえかく、AOA)」を検出するセンサーが失速防止システム「MCAS」に誤った情報を送った際、迎角の不一致をパイロットに伝える警告が標準装備されていなかったことを明らかにした。同社によると、迎角不一致の警告は安全装置として必要ではなかったと説明した上で、警告を標準装備に改めた。
2018年10月29日に墜落したインドネシアのライオン・エア(LNI/JT)のJT610便(737 MAX 8、登録記号PK-LQP)と、3月10日に起きたエチオピア航空(ETH/ET)のET302便(737 MAX 8、ET-AVJ)の墜落は、いずれもボーイングが737 MAXで新たに採用した失速防止システム「MCAS: Maneuvering Characteristics Augmentation System(操縦特性向上システム)」に何らかの異常があったとの見方が、事故調査を進める各国の航空当局で強まっている。
迎角を検出する「AOAセンサー(Angle of Attack sensor)」がMCASに誤った情報を入力した場合、迎角の不一致をパイロットに伝える警告「AOAディスアグリー(迎角不一致)」が、コックピットのディスプレーに標準では装備されていなかった。
ボーイングは29日の声明で、迎角不一致の警告について「この警告は機体の安全機能ではなく、安全運航に必須ではない」と、これまで標準装備していなかった理由を説明した。また、迎角を示す「AOAインジケーター」を、これまで通りオプションで提供する。
ブルームバーグによると、ボーイングは737 MAXを最多保有する米国のサウスウエスト航空(SWA/WN)に対し、迎角不一致の警告が標準装備されていないことを、ライオン・エアの墜落事故後に初めて伝えたという。
Aviation Wireの取材では、サウスウエスト航空でもMCASが原因とみられるトラブルが少なくとも8件起きており、いずれもパイロットがMCASを無効化することで事故を防いでいたことがわかっている。737 MAXを導入した航空会社からは、MCASに不具合が生じた際の回避策について、ボーイングがマニュアルなどで十分な説明をしていなかったとの指摘が出ている。
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Boeing
ボーイング・ジャパン
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