ブリティッシュ・エア、羽田昼間枠は「昼より遅めの時間帯」 シンハ支社長インタビュー

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 2014年3月末からの夏ダイヤで羽田空港へ昼間発着する定期便就航が見込まれるブリティッシュ・エアウェイズ(BAW)。昨年10月からは日本航空(JAL、9201)との共同事業もスタートし、3月6日にはエアバスA380型機の就航路線も発表となった。

 羽田と成田の棲み分けなど、日本・韓国地区支社長のビシャール・シンハ氏に伺った。

ブリティッシュ・エアウェイズのシンハ日本・韓国地区支社長=3月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

──昨年10月から始まったJALとの共同事業は、どのような成果が出ているか。

 BAWとしての一番の利点は、東京以外の都市へコードシェア便を運航できたことだ。JALもロンドンより先の都市にJALの便名で飛ばせたことが挙げられる。東京-欧州間の直行便がトータルで19便できたことになる。提供座席数としては週あたり約5000席だ。

 BAWとJALそれぞれの販売チームがコードシェア便をより得意なマーケットの近くで販売できており、拡販につながっている。

 また、法人顧客も含めてよりよいサービスを提供できるようになった。カスタマーサービスも双方が高いレベルの会社だ。JALは特に経営破綻後、カスタマーサービスの質に注力しており、BAWも昨年は総額50億ポンドをカスタマーサービス向上のために投資した。こうした点でも相乗効果が生まれている。

 サービスの質も両社で近いものになってきた。BAWでは10年ほど前からビジネスクラスにフルフラットベッドシートを導入しているが、JALも1月から同様のサービスを提供している。また、便の選択肢が増えたことも利点だ。

 具体的な数字は申し上げられないが、第4四半期(10-12月)の乗客数は増え、ロードファクター(L/F、座席利用率)もJAL/BAW合わせて前年同期よりも改善している。

──50億ポンドの投資でもっとも大きかったのは、どのような分野か。

 ハード面では機体やシートのリニューアル、ソフト面ではカスタマーサービスと言える。エコノミークラスとプレミアム・エコノミークラスのシートのリニューアルや、ボーイング777-300ERへの新シート導入、機内エンターテインメントシステム(IFE)のリニューアル、上質なワインを取り揃えたことなどだ。

 また、カスタマーサービスの責任者がiPadを持ち、顧客の好みやこれまでのクレームを把握できるようにした。

 日本の航空会社としてのサービスの質やこだわりなど、サービス面ではJALから学ぶことがあった。

──昨年1月の日英オープンスカイ合意により、14年3月末からの夏ダイヤで羽田空港の昼間発着する定期便就航が見込まれる。進捗状況はいかがか。

 計画通り進捗している。2年前に羽田路線を開設したが、都心から大変近いこともあり好調だ。私自身も羽田は近い空港だと思う。

 現在成田からロンドンへ向かう便は午前11時台に自社便とコードシェア便が1便ずつなので、羽田の昼間便は乗客の利便性を考えて、もう少し遅めの時間帯を考えている。

──成田も重要度が高いとのことだが、羽田への昼間発着が始まると、成田と羽田の棲み分けはどのように考えているか。

 成田と羽田両空港にコミットメントする戦略は変わらない。コードシェアは現状のJALと行っているもの以上は考えていない。共同事業としてはロンドンだけではなく日本からパリとフランクフルトもカバーしており、日本から欧州へ6便のコードシェアを行っている。

 現在羽田から午前6時台に出発している便は、遅い時間帯に移す考えはない。羽田を朝出発してロンドンに朝到着するので、乗客はロンドンで1日フルに動くことができる。

 たとえばニューヨークとロンドンを結ぶ路線を見ると、BAWとアメリカン航空(AAL)は毎時に便があり、シャトルのようになっている。提携前は午前9時くらいに便が集中してしまい、その後午後2時台までしばらく空白時間帯が発生していた。提携により運航時間帯を分散できたので、同様の利便性向上につながる取り組みを東京でも行いたい。

 羽田はJALの国内線が多く就航しており、国際線と国内線を結ぶハブになっている。BAWの拠点であるロンドン・ヒースロー空港のターミナル5も世界的に見て利便性の高いターミナルで、欧州や英国内の各都市へ向かう際に便利だ。

──ボーイング787-8型機は5月からの受領予定だが、現在の受領見通しはどうか。日本への就航時期の見通しはどうか。

 BAWにとって過去10年間は生き残りのためにリストラを行うなど、大変難しい時期だった。新しい機体を得ることで新しい局面を迎える。

 787に問題が生じているのはわかっているが、ボーイングとは長い信頼関係にあり、現時点では予定通りにデリバリーされると考えている。就航路線については現在調整中だ。

──エアバスA380型機を7月と8月、10月に1機ずつ受領する計画だが、進捗はどうか。どのような路線への就航を計画し、日本への就航計画はあるのか。

 スケジュール通りだ。収益をより良いサービスに再投資できており、新しい局面に来ている。就航路線は近いうちに発表できるだろう(インタビューは3月1日に行った。6日にロサンゼルスと香港への就航が発表となった)。

──最後にBAWのすばらしいところを教えて欲しい。

 BAWは「To Fly. To Serve」をモットーとして掲げ、乗客のみなさんの思い出に残る良い体験をしていただくサービスを行っている。欧州の航空会社の中では唯一、成田と羽田の両方からフライトがある。JALとの共同事業により、より多くの日本国内路線や欧州各都市とのネットワークをカバーしている。

 10年ほど前に航空会社初のフルフラットベッドシートを導入するなど、テクノロジーでも先駆者と言える。機内食も上空でよりおいしく召し上がっていただけるよう、改善を続けている。

 こうした高品質なサービスを、エコノミークラスであれば東京-ロンドン間を片道3万5000円からとリーズナブルな価格で提供しているのが大きな特徴だと考えている。

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【お知らせ】
4段落目の字句を一部修正しました。(2013年3月12日 11:35 JST)

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