航空自衛隊が運用する政府専用機が、2019年度に入り「B-777」(機体番号80-1111、80-1112)に交代した。従来の「B-747-400」(20-1101、20-1102)は2018年度末の3月31日をもって退役となったが、B-777による任務運航が安定するまでは、いつでも運航可能な状態を維持する。
B-777は、民間機のボーイング777-300ER型機をスイスのバーゼルにあるジェット・アビエーションが改修した機体で、初号機が2018年8月17日に、2号機は12月11日に千歳基地へ到着した。
機種選定の条件として、片道約13時間かかる米国東海岸へノンストップで飛べることや、貴賓室や執務室など要人輸送に必要な装備を設けられること、国内の航空会社が長期的に整備できることなどの条件を政府は挙げていた。航続距離は、B-747が約1万2600キロ、B-777が約1万4000キロでやや伸びた。
エンジンは、747-400をベースとするB-747が4基のGE製CF6だったのに対し、B-777は2基の同GE90に半減する。燃費は向上するものの、最大離陸重量はB-747の約363トンに対し、B-777は約348トンとやや減少する。
777が後継機に選ばれたのは2014年8月12日。整備や教育の委託先は、日本航空(JAL/JL、9201)から全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)に変わった。
任務運航時に首相らが乗降に使うドアも変わる。B-747では上部に「日本国」「JAPAN」と日の丸が描かれた左前方1番目「L1ドア」を使用していたが、B-777では左前方2番目「L2ドア」に変わる。
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