これまで国が管理してきた福岡空港が4月1日、民営化された。30年後の2048年度までに路線数を現在のおよそ2倍の100路線に増やす目標を掲げ、東アジアでトップの空港を目指す。
空港を運営する福岡国際空港会社(博多区)は、福岡エアポートホールディングス(中央区)を代表企業として、西鉄(西日本鉄道、9031)と三菱商事(8058)、九州電力(9508)、シンガポールのチャンギ国際空港などを運営するChangi Airports International(CAI)の5社で構成するコンソーシアム(企業連合)「福岡エアポートHDグループ」が出資。社長は、西鉄出身の永竿哲哉氏が務める。
事業期間は、2048年7月31日までの30年間。国に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で民営化され、福岡国際空港会社は滑走路やターミナルビル、貨物ビル、駐車場などを一体的に運営する。国は現在、第2滑走路の整備を進めており、民営化により空港機能を強化する。
1日に開かれた民営化式典で、永竿社長は「年間2400万人が利用し、アジアに近い優位性がある。1600万人対応の国際線ターミナルを拡張し、東アジアトップクラスの空港を目指す」と意気込みを述べた。
福岡エアポートHDグループが国土交通省航空局(JCAB)に示した提案書によると、民営化後は「エアライン誘致」「関係地方公共団体等及び北九州空港との連携」「エアポートシティの実現」「空港アクセスの強化」「空港容量の拡大」「地域との共生に向けた取組み」「安全性向上・保安強化に向けた取組み」の7つを柱に、将来の事業を展開。30年後の2048年度には、旅客数を3500万人、国内線と国際線合わせて100路線とし、東アジアと東南アジアの就航国数を国内でトップにする計画を示している。
計画によると、東アジアと東南アジアは14カ国51路線に拡大し、国際線全体では25カ国67路線を目指す。2024年までは東南アジアに注力し、2033年までに東アジアのほか、東南アジアの長距離路線を拡大する。30年後の2048年までに、欧米豪印の複数都市への就航を目標に掲げている。
国管理空港の民営化は、2016年7月1日の仙台空港、2018年4月1日の高松空港に続いて、3空港目となった。福岡国際空港会社では今夏以降、国際線ターミナルの出国審査後の制限エリアに新しい免税店をオープンする。
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福岡空港
福岡国際空港株式会社
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