経済産業省は3月29日、旅客機用エンジンの整備で検査方法などの不正が行われていたIHI(7013)に対し、行政処分を行った。航空機製造事業法に基づき、同省の認可を受けた修理方法で修理するよう命令した。
検査不正が行われていたのは、IHIの瑞穂工場。同社によると、国内外の航空会社から2017年1月1日から今年1月31日までの2年間に整備した民間機用エンジン213基を調査したところ、全体の98.1%にあたる209基に対し、不正が行われていたことがわかった。
213基に対する作業総数は62万件で、このうち認可を得た修理方法とは異なる不正作業は、209基に対する6340件だった。内訳は、「スタンプ管理に係る不正」が92.2%を占める5846件で、残り494件は「工順変更不正と不正な検査日」だった。
IHIがエンジン製造メーカーに現時点での調査結果を報告したところ、飛行の安全には問題ないとの見解を得たという。
瑞穂工場では、国内外の航空会社から航空機用エンジンの整備を受託している。旅客機用では、エアバスA320ファミリー向けのIAE(インターナショナル・エアロ・エンジンズ)製V2500と、エンブラエル170(E170)などリージョナルジェット機向けのGE製CF34、A320neoファミリー向けのプラット・アンド・ホイットニー製PW1100G-JMを整備している。
瑞穂工場は国の認定を受けた「認定事業場」で、「確認主任者」と呼ばれる有資格者が検査するなど、法律や国の通達に従って作業することにより、国の検査などを一部省略できる。ところが、検査ルールを逸脱したり、マニュアルに定められた順序で作業を行っていなかった。
IHIの検査不正に対しては、国土交通省も調査を進めている。
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