成田国際空港会社(NAA)の夏目誠社長は3月28日、米国発便の乗客を対象に、成田空港でアジアなどへ乗り継ぐ際の保安検査を省略する「ワンストップセキュリティー」の実証実験を、4月に実施することを明らかにした。乗り継ぎ客の保安検査を省略する取り組みは、日本では初めて。
期間は4月3日から12日までの10日間。日米をはじめとする航空会社のうち、希望した8社が対象で、期間中の11便程度を対象に実施する。米国発便のみが対象で、アジアなどから成田経由で米国へ向かう場合は、従来通り保安検査を受ける必要がある。
夏目社長は「羽田発着枠の増枠50枠のうち24枠が米国路線で、成田がまた減便になる可能性は否定できない。アジアの結節点という表看板は降ろしたくない」と語り、米国とアジア路線の乗り継ぎ客の利便性向上を目指す。
一方、成田空港の国際線乗り継ぎ場所は、ワンストップセキュリティーを前提とした構造になっておらず、当面は米国発便すべてを対象にすることは難しい。「トライアルの結果を見て拡大を検討したい。(NAA直営の)ラウンジも整備しており、乗り継ぎを重視していきたい」(夏目社長)と述べた。
NAAによると、海外では米国から欧州へ向かう便や米国からカナダへの便などで、ワンストップセキュリティーが実施されているという。多くは米国発が対象で、双方の出発地を対象にしたケースは少ないという。
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