ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)は3月22日、パイロットの飲酒問題について国土交通省航空局(JCAB)に再発防止策を提出した。
エアージャパンでは、2月1日の国際線に乗務予定だった40代男性副操縦士Aから乗務前にアルコール反応が検出され、成田発ヤンゴン行きNH813便(ボーイング767-300ER型機、登録記号JA626A)のパイロットを交代させた。この問題を受け、国交省は3月8日に同社を厳重注意し、22日までに再発防止策を提出するよう求めていた。
しかし、厳重注意後の15日には、別の40代男性副操縦士Bから乗務前にアルコール反応が検出された。この影響で、15日の羽田発香港行きNH821便(767-300ER、JA623A)のパイロットを交代させ、定刻より9分遅れの15日午前1時4分に羽田を出発し、香港には8分早着となる同日午前4時52分に到着した。
エアージャパンが国交省へ提出した報告書によると、アルコール反応が出たNH813便の副操縦士Aはパイロット派遣会社からの派遣で、当初は同便に乗務予定ではなかった。しかし、乗務前日の夕方に勤務変更をエアージャパンから打診され、これに応じて乗務が決まった。ところが、ANAが定めるアルコール摂取量について理解が不足していたほか、パイロットのシフトを組む担当者も、勤務変更を打診時に飲酒状況を確認していなかった。
パイロットの飲酒問題が相次いだことを受け、エアージャパンは再発防止策で、パイロットのアルコール問題に関する教育の見直しと徹底による意識改革や、アルコール問題にかかわる安全管理体制の充実、パイロット以外を対象としたアルコール教育と啓発を実施するとした。
パイロットの意識改革では、全員に対する個別面談の再実施やパイロット派遣会社から派遣された乗務員に対する注意喚起などを行う。安全管理体制の充実では、シフトを組む担当者への教育やカウンセリング体制の整備などを進める。また、派遣パイロットが飲酒問題を起こした場合、本人の責任の明確化なども派遣会社と協議する。
エアージャパンは、全日本空輸(ANA/NH)の便名で運航される中近距離国際線や貨物便などを担当している。
エアージャパンの飲酒問題
・ANA系エアージャパン、副操縦士からアルコール検出で9分遅延 厳重注意後に再発(19年3月15日)
・ANA系エアージャパン、アルコール検知で副操縦士交代(19年2月2日)
ANAウイングスの飲酒問題
・国交省、ANAウイングスに業務改善勧告 飲酒問題でパイロット口裏合わせ(19年2月1日)
・ANAウイングス機長、副操縦士に口裏合わせ依頼 飲酒で虚偽報告(19年1月9日)
・ANAウイングス機長、飲酒で虚偽報告 規定時間後も飲み摂取上限超える(19年1月8日)
・ANA子会社、機長飲酒で国内線5便遅延 年明けに再発(19年1月3日)
・ANAウイングス、飲酒機長を諭旨退職(18年11月9日)
・ANA、子会社パイロット飲酒で5便遅延(18年10月31日)
ANA関連のアルコール問題
・ANA、アルコール検査の記録欠損406件(18年12月22日)
・ANA、飲酒量を明文化 ビール1リットル、国交省に対応策(18年11月16日)
・ANA、パリ支店長が酒酔いで乗客けが ワイン6杯、諭旨解雇(18年10月5日)
国交省の対応
・管制官もアルコール検査 国交省、4月から義務化(19年3月20日)
・国交省、JALに業務改善勧告 客室乗務員の機内飲酒で(19年1月11日)
・パイロットの体内アルコール濃度、英国と同基準に 国交省が中間報告(19年1月7日)
・国交省、JALに事業改善命令 ANAとスカイマークなど厳重注意 パイロット飲酒問題(18年12月22日)
・国交省、パイロット飲酒対策会議 航空25社の社長出席、他社から学ぶ(18年12月5日)
・国交省、JALとANAに立入検査 パイロット飲酒で(18年11月27日)