ボーイングは現地時間3月10日(日本時間11日)、開発中の次世代大型機777Xのロールアウト(完成披露)式典を延期する方針を明らかにした。13日にシアトルでデニス・マレンバーグ会長、社長兼CEO(最高経営責任者)らが出席して機体を披露する予定だったが、10日にエチオピア航空(ETH/ET)の737 MAX 8(登録記号ET-AVJ)が墜落し、乗客乗員157人全員が亡くなったことを受け、延期を決めた。
*従業員向けにお披露目。記事はこちら。
777Xはメーカー標準座席数が3クラス350-375席の777-8と、400-425席の777-9の2機種で構成。航続距離は777-8が8700海里(1万6110キロ)、777-9は7600海里(1万4075キロ)を計画している。日本の製造分担割合は、現行の777と同じ主要構造部位の約21%となる。
エンジンは、米GE製GE9Xを2基搭載。翼は炭素繊維複合材を用いて軽量化するとともに、777の主翼よりも長くなることから、翼端を折りたためるようにして、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにする。生産は2017年に開始し、初飛行は今年、初納入は2020年を予定している。
2月28日に、英IAG(インターナショナル・エアラインズ・グループ)が傘下のブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)向けに最大42機購入する方針を発表。これにより、受注とコミットメントの獲得数は、8顧客から358機となった。日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が、777-9を20機確定発注しており、2021年度から受領する見通し。
墜落したエチオピア航空の737 MAX 8は、10日午前8時38分(日本時間同日午後2時38分)にエチオピアの首都アディスアベバのボレ国際空港を乗客149人と乗員8人の計157人を乗せ、ナイロビ行きET302便として離陸。6分後の午前8時44分に、南東のオロミア州ビショフツ(デブラ・ゼイト)付近で消息を絶ち、同日全員の死亡が確認された。
737 MAXは、2018年10月29日にも墜落している。インドネシアのLCC大手、ライオン・エア(LNI/JT)のジャカルタ発パンカルピナン行きJT610便(737 MAX 8、PK-LQP)で、製造されたばかりの機体だった。
737 MAXの墜落はJT610便が初めてで、ET302便は2件目。JT610便の墜落では機体の姿勢制御時に、翼と対向する空気の流れの角度「迎角」を検出する「AOAセンサー(Angle of Attack sensor)」に問題があったことがわかり、FAA(米国連邦航空局)が11月に機体の安全性を確保するための整備や改修を指示する「耐空性改善命令(AD)」を発行している。
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