スカイマーク(SKY、9204)が2014年就航予定のエアバスA330-300型機に上級クラスを導入し、2クラス制とすることについて、本紙では昨年6月に報じた(関連記事)。日本経済新聞は3月5日朝刊で、1路線目が羽田-福岡線で同年2月導入となり、差額が1000円になると伝えた。A330や上級クラス導入の狙いについて、これまでの情報をまとめた。
SKYは15年7-9月期までに10機導入するA330の初号機を14年1月に受領し、2月から就航させる見込み。10機はいずれもリース導入で、エンジンは英ロールス・ロイスのトレント700を搭載する。現在の機材はボーイング737-800型機(1クラス・177席)のみだが、14年に国際線へ導入するA380と合わせると3機種体制となる。
提供座席数がA330導入により約1.8倍となることで、羽田発着便で満席となる便が多い札幌線と福岡線、沖縄線の幹線3路線で、取りこぼしている利用客を取り込むことが狙いの一つだ。
A330への2クラス制導入は昨年6月時点では、追加料金8000円の全日本空輸(ANA、9202)のプレミアムクラスや日本航空(JAL、9201)のファーストクラス、同1000円のクラスJ(JAL)から利用客獲得を目指すとしていた。SKY幹部によると、沖縄線を除くと所要時間が1時間半から2時間程度のため、クラスJに近いサービスに落ち着いたようだ。上級クラスの座席数はおおむね80席程度になるという。
SKYの1月のロードファクター(L/F、座席利用率)は全体が62.0%で、前年同月比12.2ポイント減。最もL/Fが高かった路線は羽田-福岡線の84.0%(前年同月比9.1ポイント減)で、羽田-札幌線が75.3%(同10.8ポイント減)、羽田-沖縄線が77.3%(同1.8%減)と、3路線とも収益分岐点となる75%は超えているものの、前年より値が落ちている。A330導入により提供座席数が増えるため、SKYでは全体でL/Fが5、6%減少することを想定しているが、上級クラス導入で平均単価を引き上げたい考え。
14年2月から国内幹線に上級クラスを導入する背景には、もう一つの狙いがあるとみられる。同年7月からは同社初の国際線定期便でA380による成田-ニューヨーク線が就航するため、サービスの“地ならし”を行いたい模様。記者が取材を進める中で「SKYは国際線で上級クラスのサービスが提供できるのか」と疑念を抱く声もあったが、国内幹線でサービスのノウハウを蓄積し、こうした不安を払拭したいようだ。
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スカイマーク
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