エアアジア・ジャパン(WAJ/DJ)は3月7日、中部(セントレア)発台北(桃園)行きに乗務した50代男性の日本人副操縦士が、酒気帯びの疑いのある状態で乗務したと発表した。試験導入中の検知器ではアルコールを検出したが、社内規定で採用している機器では反応がなく、同乗する機長らが副操縦士からアルコール臭を感じなかったことから、乗務を認めたという。副操縦士は現在乗務から外れ、社内の聞き取り調査に応じているという。
—記事の概要—
・試用検知器は0.11ミリ検出
・環境影響受ける「ストロー式」
試用検知器は0.11ミリ検出
酒気帯びの疑いで乗務したのは、6日の中部-台北線。午前6時10分ごろ、中部空港の同社オペレーションセンターで副操縦士がアルコール検査を実施したところ、呼気1リットルあたり0.16ミリグラムのアルコールを検出した。20分後の同30分に実施した再検査では0.11ミリグラムだった。
エアアジア・ジャパンでは現在、吹きかけ式とストロー式のアルコール検知器2種類を用いている。アルコール反応の基準としているのは吹きかけ式で、今回は吹きかけ式が反応を示さなかったことから、乗務すると判断した。
同社では、出発12時間以内の飲酒を禁止している。副操縦士は12時間以内にアルコールを摂取しておらず、勤務前にコーヒーを飲んだと話しているという。
6日の副操縦士は台北線のみの乗務で、台北発便にも乗務した。台北線の運航スケジュールは、台北行きDJ803便が、中部を午前7時55分に出発し、午前10時40分着。折り返しの中部行きDJ804便が午前11時40分に台北を出発して、午後3時10分着となっている。
環境影響受ける「ストロー式」
エアアジア・ジャパンは2017年10月の就航以来、吹きかけ式アルコール検知器を導入している。吹きかけ式は、呼気に含まれるアルコールの有無を判別できる。今年3月1日からは、より精度の高いストロー式の検知器を試験導入。ストロー式はアルコール量を数値化して表示でき、8日から正式採用する。現在は吹きかけ式と併用し、正式採用までは吹きかけ式の検査結果を優先させている。
同社によると、ストロー式の検知器は数値を明確にできる利点がある一方、芳香剤など周りの環境に影響を受けやすいという。副操縦士からは0.11ミリグラムのアルコールを検出したが、ストロー式の正式採用前で、現時点では社内規定の基準としている吹きかけ式がアルコール反応を示さなかったことと、運航管理者(ディスパッチャー)と機長が副操縦士からアルコール臭を感じなかったことから、乗務すると判断したという。
エアアジア・ジャパンは今回のトラブルについて、6日付で国土交通省航空局(JCAB)に報告。副操縦士は7日付で乗務を外れ、社内の聞き取り調査に応じている。
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