日本航空(JAL/JL、9201)は3月7日、整備子会社JALエンジニアリング(JALEC)の整備士が始業前のアルコール検査で、別の人物に検査を依頼するトラブルが発生していたと発表した。JALECは国土交通省航空局(JCAB)に対し、3月7日に最終報告を済ませた。
—記事の概要—
・検査立会人が「替え玉」
・本社への報告遅れる
・赤坂社長も自主返納
検査立会人が「替え玉」
別人に検査を依頼する「替え玉」は、1月19日に福岡空港で発生。JALECの福岡空港整備部に所属する40代男性整備士が、午前5時20分ごろ職場へ到着後に実施した検査で、呼気1リットルあたり0.08から0.10ミリグラムのアルコールを検出した。始業時間の午前5時30分には、規定値の0.10ミリグラムを下回っていたものの、不安を感じたことから、検査に立ち合って確認するJALECの40代男性担当者に代行を依頼した。
40代の当該整備士は午前6時から7時まで、出発便1便の作業を実施。その後、計6便の発着便に立ち会った。
トラブルが発生した前日の18日は、午後11時ごろまで、この整備士と30代の別の男性整備士と飲酒。30代整備士も翌日は勤務したものの、午前6時の始業時に規定値を超えたアルコールが検出された。その後、午前7時20分の検査時には基準値を下回ったものの、当日は業務から外れた。
本社への報告遅れる
今回の替え玉は、30代整備士が上長に報告したことで発覚。翌20日に上長が替え玉を頼んだ整備士に聞き取り調査したところ、事実を認めた。1月末までに整備部の責任者まで報告されていたものの、羽田にあるJALEC本社への報告は2月11日となった。
JALECはJCABに対し、2月13日に報告。その後、事実関係やアルコールに関する検証結果などを順次報告し、3月7日に最終報告を済ませた。今後、アルコール検査の立会人は、JALグループ外の第三者に委託する。委託開始までは、立会人を整備以外の組織から用意したり、管理職や複数人での同時検査を導入する。
赤坂社長も自主返納
JALECは社内規定により、40代の当該整備士と代行した検査立会人、最初に報告を受けた上長、整備部の責任者の4人を懲戒処分とした。JALは処分の内容を明らかにしなかったものの、4人とも社には在籍しているという。
このほか、JALECの北田裕一社長は月額報酬の10%を1カ月分、JALの赤坂祐二社長は月額報酬の20%を1カ月分、それぞれ自主返納する。
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