成田国際空港会社(NAA)の夏目誠社長は2月28日、2020年夏ダイヤで予定している羽田空港の増便枠について、成田への影響は避けられないとの見方を示した。米航空各社は日米双方に割り当てられる12枠(往復)ずつに対し、米国側は4社が15路線計19往復を申請している。
アメリカン航空(AAL/AA)とデルタ航空(DAL/DL)、ハワイアン航空(HAL/HA)、ユナイテッド航空(UAL/UA)の4社は、米国運輸省(DOT)に対し、現地時間2月21日までに開設を申請。アメリカン航空が申請したラスベガス線を除く14路線が、成田の既存路線と重複する。
各社からの申請をDOTが許可した場合について、夏目社長は「重複する成田の米国路線は、運休になる可能性は否定できない」と述べ、影響は避けられないとした。
DOTは各社からの提案を精査し、12枠の割り当てを決定する。夏目社長は羽田就航路線が決定したのち、「成田からの撤退路線などは今後決まっていく」とした。
成田空港では今後の米国便減便に備え、アジア各国からの就航に注力する。夏目社長は今後、「アジアからの需要が伸びる」との見方を示し、「アジアの需要を成田で受け止め、北米への乗り継ぎを強化する。影響を一時的なものとし、(米国便の)復便を目指したい」と述べた。
夏目社長がとりわけ重要視しているのは、中国とのオープンスカイ(航空自由化)だ。国土交通省航空局(JCAB)は2012年8月、中国の航空当局と段階的なオープンスカイで合意したものの、混雑の激しい成田と羽田、北京、上海の4空港は除外している。夏目社長は中国とのオープンスカイについて、「(JCABに)できるだけ早く移行していただきたい、との要望は出している」と述べ、早期実現を強く望んだ。
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成田空港
羽田空港国際線ターミナル
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