全日本空輸(ANA/NH)は2月17日、羽田-ウィーン線の運航を開始した。深夜に羽田を出発し、早朝にウィーンへ到着するスケジュールを設定し、ビジネス需要の取り込みを図る。ANAのウィーン就航は約17年ぶり。
機材はボーイング787-9型機(2クラス215席:ビジネス48席、エコノミー167席)で、1日1往復運航する。運航スケジュールは、ウィーン行きNH205便が羽田を午前1時55分に出発し、午前6時着。羽田行きNH206便は午前11時50分にウィーンを出発し、翌日午前6時55分に到着する。
初便が出発する羽田空港国際線ターミナル108番搭乗口では、就航セレモニーを開催。出席したANAの平子裕志社長は「オーストリアは教育や安全、医療などでの評価が高まっている」と述べ、観光やビジネスの需要増加へ期待を寄せた。
17日の初便には、映画『スター・ウォーズ』に登場するロボット「R2-D2」を描いた787-9の特別塗装機「R2-D2 ANA JET」(登録記号JA873A)を投入した。初便となったNH205便(787-9、登録記号JA873A)の乗客には、搭乗記念としてレザーポーチをプレゼント。乗客209人(うち幼児0人)、乗務員12人(運航乗務員3人、客室乗務員9人)が搭乗し、羽田を午前1時55分すぎに出発した。また同便には、来日中だったオーストリアのセバスティアン・クルツ首相も搭乗し、同国へ帰国した。
日本とEU(欧州連合)間では、2月1日に経済連携協定(EPA)が発効。日欧間の経済交流の加速が見込まれる。ウィーン線は早朝に到着し、欧州各都市へ午前中に乗り継げるスケジュールを設定することで、ビジネス需要を強化する狙いがある。ウィーンは中欧や東欧の物流拠点であることから、自動車部品など貨物需要の取り込みも図る。
ANAは1996年3月から2002年3月まで、成田-パリ線をウィーン経由で運航。およそ17年ぶりにウィーンに再就航し、日本の航空会社としては唯一の中・東欧路線となる。現在はANAと同じ航空連合「スターアライアンス」に加盟するオーストリア航空(AUA/OS)が運航するウィーン-成田線で、コードシェア(共同運航)を実施している。
オーストリア航空の成田線は、2018年5月15日に1年8カ月ぶりに再開。10月27日までの2018年夏ダイヤ期間は、週5往復を運航していた。翌28日からの冬ダイヤでは一旦運休し、今年の夏ダイヤが始まる3月31日から週5往復で再開する。
ANAの羽田からの欧州行き深夜便は、ウィーン線の就航により2路線となる。現在は深夜早朝帯で、フランクフルト線を運航している。
運航スケジュール
NH205 羽田(01:55)→ウィーン(06:00)
NH206 ウィーン(11:50)→羽田(翌日06:55)
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