エアバスの総2階建て大型機A380型機が、生産中止を間もなく決定し、公表する可能性がある。ロイター通信が2月14日までに伝えた。
*正式発表はこちら。
—記事の概要—
・エミレーツとの交渉結論至らず
・受注残79機
・747-8も苦戦
エミレーツとの交渉結論至らず
ロイター通信によると、A380の最大顧客であるエミレーツ航空(UAE/EK)と交渉したものの、エンジンに関する交渉により結論に至らなかったという。業界関係者とアナリストが明らかにしたもので、代替案の検討を余儀なくされたことで、生産中止の引き金となった、とみている。
また、エアバスはエミレーツ航空に対し、発注の一部をA350やA330など、A380よりも小型の双発機に切り替えることを望んでいる、とも報じている。
エアバスの日本法人、エアバス・ジャパンはAviation Wireの取材に対し、「現段階では何も申し上げることはない」と応じた。
受注残79機
A380は、2005年4月27日に初飛行。エンジンは英ロールス・ロイス製トレント900と、米エンジン・アライアンス製GP7200のうち、いずれかを選択できる。
今年1月末時点でエミレーツなど16社から313機受注し、234機が引き渡し済み。受注残は79機となっている。受注のうち、エミレーツが全体の51.8%にあたる162機を発注している。1月に入り、カンタス航空(QFA/QF)が受領待ちとなっていた8機をキャンセルした。
エアバスはA380の月産レートを公表していない。2018年は12機を引き渡した。このうちエミレーツには8機、シンガポール航空(SIA/SQ)に3機、カタール航空(QTR/QR)に1機納入している。
日本では、ANAホールディングス(ANAHD、9202)が3機発注済み。3月に初号機(登録記号JA381A)を受領し、傘下の全日本空輸(ANA/NH)が5月から成田-ホノルル線に投入する(関連記事)。
2018年1月15日に、当時エアバスの民間航空機部門顧客担当COO(最高執行責任者)だったジョン・リーヒー氏は、A380の生産中止を示唆。エミレーツから受注できない場合、「プログラムを中止する以外に選択肢がないと思う」とオンラインで開いた会見で語っていた(関連記事)。
同年2月11日に、エミレーツは20機確定。この時点では生産中止を免れた。
747-8も苦戦
一方、競合のボーイングも、A380と同じくエンジンが4基ある「4発機」は苦戦している。2016年7月には、「ジャンボ」の愛称で親しまれている747の最新型747-8について、需要が見込めない場合は生産中止を検討すると表明している。
747-8は旅客型の747-8「インターコンチネンタル」と貨物型の747-8Fがある。エンジンは米GE製新型エンジンのGEnx-2Bを4基搭載する。
1月末時点で、747-8は154機受注し、130機が引き渡し済み。受注残は24機となっている。このうち旅客型の747-8は47機受注し完納。747-8Fは107機受注し、83機引き渡している。
747-8の月産レートは0.5機。2018年の引き渡しは6機で、いずれも米UPS航空(UPS/5X)に747-8Fを納入した。
A380や747-8といったエンジンが4発の超大型機は、燃費性能や運航コストが優れたエンジンを2基搭載する双発の大型機により、苦戦が続きそうだ。
エアバスが正式発表
・A380、2021年に生産終了へ エミレーツ航空、39機キャンセル(19年2月14日)
生産中止免れる
・エミレーツ航空、A380を20機確定発注(18年2月13日)
・エミレーツ航空、A380を最大36機発注 生産中止免れる(18年1月18日)
・エアバス、A380生産中止を示唆 明暗握るエミレーツ(18年1月16日)
・エアバス、A380neo検討も生産中止否定(14年12月15日)
A380キャンセル
・カンタス航空、A380残り8機キャンセル 既存機は運航継続(19年2月8日)
・エールフランス航空、A380半減検討 仏紙報道(18年11月26日)
ANAのA380
・ANA、A380お披露目 空飛ぶウミガメ、ハンブルクでロールアウト(18年12月13日)
・ANAのA380、成田-ホノルル19年5月就航 7月に2号機(18年11月27日)
・ANAのA380、初飛行成功 ハンブルクで塗装へ(18年9月18日)
・ANAのA380、最終組立工場からロールアウト(18年8月31日)
・ANAのA380、段階的に導入へ 19年度は2機(18年6月28日)
・ホノルル線A380、ANAパイロットが運航(18年6月5日)
・ANA、ホノルルにA380対応ラウンジ 19年春、2階席に直接搭乗(18年5月30日)
・ANA、A380を19年3月受領 空飛ぶウミガメ、個室ファーストクラスでハワイへ(18年4月27日)
・ANAのA380、エコノミーにカウチシート ファーストはドア付き、4クラス520席(18年4月25日)
・なぜA380は羽田に就航できないのか 特集・訪日4000万人達成を考える(17年7月20日)
・ANAのA380、デザインは「空飛ぶウミガメ」 成田-ホノルル19年就航(17年3月6日)
・【スクープ】ANA、A380を成田投入へ 羽田就航見送り、ホノルル線(16年10月24日)
・ANA、A380を3機正式発注 ホノルル線に18年度以降(16年1月29日)
・なぜANAはハワイにA380を導入するのか 特集・A380はゲームチェンジャーか(16年1月5日)
・ANAがA380導入!? 特集・スカイマーク”官邸主導”再建(後編)(15年8月6日)
写真特集・ANAフライング・ホヌ初号機
・日本初のA380お披露目(18年12月17日)
特集・ANA A380のシート
カウチ・エコノミー編 綾瀬はるか「奥行きあり、くつろげそう」(18年12月1日)
ビジネスクラス編 フルフラットのペアシート(18年12月2日)
ファーストクラス編 個室席はジャムコ製(18年12月3日)
写真特集・エミレーツA380関空就航
・シャワーも付いてるファーストクラス(18年11月13日)
747-8も苦戦
・ボーイング、747-8製造中止検討 苦境のジャンボ、貨物低迷響く(16年7月29日)
・UPS、747-8Fを14機追加発注 貨物需要拡大で(18年2月2日)