日本の航空会社のパイロットで、最長の生涯飛行時間を持つフジドリームエアラインズ(FDA/JH)の秋田芳男機長(68)が1月2日、花巻発小牧(県営名古屋)行きJH358便(エンブラエル170型機、登録記号JA01FJ)で最後の乗務を終えた。47年のパイロット人生で積み上げた総飛行時間は2万7255時間、着陸回数は1万3565回となった。
—記事の概要—
・YS-11で機長昇格
・休むなら飛行機乗りたい
YS-11で機長昇格
秋田さんは、1951年1月3日大阪市生まれ。小学4年生の時に八尾空港(大阪府八尾市)で見た飛行機に感動し、パイロットの道へ進もうという気持ちが芽生えたという。
1971年9月に、当時の東亜国内航空(TDA/JD)にパイロット訓練生として入社。日本航空機製造YS-11型機の副操縦士として乗務を始め、機長昇格もYS-11だった。
その後、ダグラスDC-9型機やボーイング777型機、ボンバルディアDHC-8-Q400型機と、社名変更後の日本エアシステム(JAS/JD)や日本エアコミューター(JAC/JC)、日本航空(JAL/JL、9201)で、ターボプロップ(プロペラ)機からワイドボディー機まで、さまざまな機種を操縦。777時代には、8年ほど国際線も担当したという。FDAには2010年4月に入社し、エンブラエル170/175(E170/E175)の機長を定年まで勤め上げた。
32歳でYS-11の機長になった秋田さんは、「(コクピット内で)機長と副操縦士の距離はわずか1メートル。たった1メートル左に移動するだけで、気持ちは全然違う」と、運航責任者である「PIC(Pilot in Command:機長)」に初めて指名された時に感じた重圧をこう表現した。
休むなら飛行機乗りたい
2万7000時間を超える飛行時間に到達したことについて、秋田さんは休みを取らなかったことを理由に挙げた。飛行機が大好きで、休むくらいなら乗っていたいという気持ちが大きかったという。また、暴飲暴食を避け、睡眠をしっかりと取り、オンとオフを上手に切り替えるなど、規則正しい生活がパイロットを長く続ける秘訣だと語った。
これまではパイロットとして自らを常にコントロールしてきたが、翌日からはそうした縛りから解放される。明日からしてみたいことの問いには「暴飲暴食」と即答し、笑いを誘った。
近年、パイロットに対する世間の目線が違ってきていることにふれ、「常に第三者の目を気にして欲しい」との言葉を後輩たちへ残した。
最終乗務日となった2日は、計4便のフライトを担当。小牧を午後1時10分に出発する熊本行きJH325便から乗務を開始し、折り返しの熊本発小牧行きJH326便、小牧発花巻行きJH357便と操縦桿を握り、ラストフライトとなった花巻発JH358便は、乗客57人(幼児3人含む)を乗せ、小牧へ午後8時9分に到着した。降機した秋田さんは同僚たちに迎えられ、笑顔をみせた。
秋田さんは、2014年5月23日に総飛行時間2万5000時間を達成。2日の最終便で達した2万7255時間のうち、機長としてのフライトは2万131時間だった。FDA入社後の総飛行時間は4606時間で、このうち機長として4160時間を飛んだ。今後は取締役兼運航乗員部長として、後進を育成していくという。
*写真は26枚。
*秋田機長最終日の運航実績は写真下に掲載。
秋田機長最終日の運航実績(括弧内は定刻/実績)
JH325 小牧(13:10/13:10)→熊本(14:40/14:44)
JH326 熊本(15:10/15:15)→小牧(16:30/16:28)
JH357 小牧(17:05/17:02)→花巻(18:15/18:18)
JH358 花巻(18:50/18:52)→小牧(20:15/20:09)
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