日本航空(JAL/JL、9201)の赤坂祐二社長は1月1日、パイロットや客室乗務員の飲酒問題が昨年起きたことを受け、今年度内に対策を実施する考えを示した。自らが委員長を務める社内の検証委員会で課題を洗い出し、安全対策を講じる。
1日に羽田空港で報道各社の取材に応じた赤坂社長は、「あってはならない問題で痛恨の思い。ただアルコールを制限する対症療法だけではだめで、われわれの安全文化を根本から見直す必要がある。問題を根っこから絶つのが、2019年最初の仕事になる」と、安全強化に対する決意を述べた。
一方、こうした問題が発生した背景に、2010年1月19日の経営破綻以降、再生していく中で無理が生じていたのでは、との見方もある。赤坂社長は、「また元に戻ってはいけない、失敗してはいけないと、社員の気持ちに焦りのようなものがあり、今回の件も無関係ではないのではないか。そういうことも含めた対策が必要だと思う」と語った。
また、これまで初日の出フライトには、前社長の植木義晴会長が毎年搭乗していた。しかし、昨年就任した赤坂社長は今回、飲酒問題を受けて自粛し、羽田での見送りと出迎えにとどめた。
「元旦からたくさんの皆様にご搭乗いただき、感謝しかない。私は整備出身なのでいつも見送る側だった。整備の血が薄くなってから乗せていただきたい」と話した。
監督する国土交通省は昨年12月21日に、パイロットの飲酒問題が相次いだことを受け、JALに対し事業改善命令、全日本空輸(ANA/NH)とANAウイングス(AKX/EH)、スカイマーク(SKY/BC)、日本エアコミューター(JAC/JC)の4社を厳重注意とした。いずれも1月18日までに、再発防止策を報告させる。
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日本航空
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