MRJ, 機体 — 2018年12月21日 13:30 JST

三菱航空機、ボンバルディア提訴却下申し立て 「MRJ開発阻害が意図」と批判

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 リージョナルジェット機「MRJ」を開発中の三菱航空機は12月20日、カナダのボンバルディアが三菱航空機を提訴したことについて、米国子会社の米国三菱航空機がボンバルディアの訴えの却下を申し立てたと発表した。MRJの開発阻害が意図と批判している。

ボンバルディアの提訴却下を申し立てた三菱航空機。写真はモーゼスレイクで飛行試験を行うMRJの飛行試験初号機=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ボンバルディアは現地時間10月19日に、三菱航空機を米ワシントン州シアトルの連邦地裁に提訴。三菱航空機がボンバルディアの機密情報を入手するため、小型旅客機Cシリーズ(現エアバスA220)の開発に携わった社員らを雇用し、情報を不正利用したと訴えた。

 米国三菱航空機はこれに対し、「ボンバルディアの企業秘密を不正使用しておらず、かつ、適法に採用活動を行っているとの認識」との声明を発表。提訴却下を申し立てた。今後は、訴えを否定する答弁書の準備を進める。

 三菱航空機はボンバルディアの提訴について、「MRJの開発を阻害し、航空機業界の経験豊富なエンジニアの雇用流動性を停滞させることが意図」と批判。ボンバルディアに対する反対請求も検討する。三菱航空機の水谷久和社長は、12月19日に「理解している範囲では、やましい点はない」と改めて強調している。

 地元紙シアトル・タイムズなどの報道によると、機体の安全性を航空当局が証明する「型式証明」の取得に向け、三菱航空機と協力会社の米エアロテックがCシリーズの開発に携わった元社員らを雇用し、TCCA(カナダ航空局)とFAA(米国連邦航空局)の型式証明(TC)に関する機密文書とデータを不正流用したとの主張を報じている。

関連リンク
Commercial Aircraft(Bombardier)
三菱航空機
三菱重工業

ボンバルディア提訴、「根拠ない」と反論
三菱重工と三菱航空機「根拠ない」 ボンバルディア提訴に反論(18年10月22日)
ボンバルディア、三菱航空機を提訴 MRJ型式証明で(18年10月22日)

水谷社長「やましい点はない」
MRJ、型式証明取得に注力 水谷社長「予算守り開発やり終える」(18年12月19日)

Cシリーズとは
A220ってどんな機体? 特集・エアバス機になったCシリーズ(18年7月11日)

写真特集・A220-300お披露目
2席+3席でゆとりある客室(18年7月15日)

CシリーズからA220へ
エアバス、A220発表 Cシリーズを改称(18年7月10日)
エアバス、Cシリーズ事業会社買収 ボンバルディアや州政府から(18年7月2日)

MRJ:ファンボロー初日の飛行展示
MRJ、ファンボロー航空ショーで初の飛行展示 宮永社長「強い競争力ある」(18年7月17日)
静かに舞い、静粛性アピール 写真特集・MRJ初のファンボロー飛行展示(18年7月17日)
「静かさアピールした」安村機長に聞くMRJ初のファンボロー飛行展示(18年7月21日)

MRJのコックピット
大型画面に計器集約 写真特集・ファンボロー舞ったMRJのコックピット(18年7月21日)

MRJ:パリは内装展示を
「パリではMRJの内装展示を」三菱航空機・水谷社長インタビュー(18年7月24日)

エンブラエルの動向
E190-E2、羽田に初飛来 MRJ最大のライバル、静かに着陸(18年10月15日)
エンブラエル、E190-E2初のメディアフライト MRJ最大のライバル、ファンボロー開幕前に(18年7月16日)
ボーイングとエンブラエル、民間機の合弁会社設立へ MRJさらなる苦戦も(18年7月6日)
E190-E2就航 ヴィデロー航空、世界初の定期便(18年4月25日)