IATA(国際航空運送協会)は現地時間12月12日、世界の航空会社による2019年の純利益予想について、過去最高となる2018年見込み比9.9%増の355億ドル(約4兆211億円)と発表した。2018年の純利益見通しは、6月の発表値を15億ドル下回る323億ドルに引き下げた。2019年は燃油費がやや下落するものの、英国のEU(欧州連合)離脱(ブレグジット、Brexit)協定案などの影響で、下振れリスクがあるとしている。
全世界の旅客数は2018年と比べて5.8%増の45億9000万人を見込む。これを受け、総収入は7.8%増の8850億ドルと予想。営業利益率は2018年と同じ8.6%となる見通しだが、純利益率は0.1ポイント改善して4.0%を見込む。貨物量については、3.5%増の6590万トンと予想している。
有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)は比6.0%増、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は5.8%増、ロードファクター(座席利用率)は0.2ポイント上昇し82.1%を見込む。
原油価格は米国の石油生産量の増加と石油在庫の上昇に伴い、11.0%減の1バレル平均65ドル、ジェット燃料価格は7.2%減の81.3ドルを予想。コストに占める燃油費の割合は0.7ポイント上昇し24.2%を見込む。
地域別の見通しでは、アジア太平洋地域の航空会社が計上する純利益は、8.3%増の104億ドルを見込む。
ジュネーブで予測を発表したIATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長兼CEO(最高経営責任者)は「2019年のコスト上昇は、航空会社の収益性を低下させるだろうと予想していた。しかし、原油価格の急落とGDP成長の見通しにより、バッファーが提供された。一方で、経済的および政治的環境が依然として変動する中で、下振れリスクがある」と語った。
関連リンク
IATA
・空港民営化「慎重に」IATA年次総会、政府に警鐘鳴らす(18年6月6日)
・IATA、世界航空各社の18年純利益11%増384億ドル 燃油費は上昇(17年12月6日)