国土交通省は11月6日、国内の航空会社で飲酒トラブルが相次いだことから、パイロットの体内アルコール濃度の上限値などを検討する有識者会議を設置すると発表した。初会合は11月中旬に開く。
主な検討事項は、アルコール濃度の上限値のほか、パイロットの乗務前アルコール検査の義務化をはじめ、整備士や客室乗務員、運航管理者(ディスパッチャー)などの飲酒ルールで、乗務前検査については検査方法や使用機器なども含めて検討する。
有識者会議のメンバーは、学識経験者や日本航空機操縦士協会(JAPA)、航空医学研究センター、全日本航空事業連合などで構成。初会合では、国内外の現状を確認して課題の整理などを行い、12月中旬開催の第2回検討会で、パイロットの飲酒許容量などを定めた基準案を策定し、中間取りまとめとする。その後、整備士や客室乗務員、運航管理者などの飲酒ルールを検討していくという。
国内では、10月に航空会社の飲酒トラブルが相次いだ。全日本空輸(ANA/NH)のパリ支店長兼ブリュッセル支店長(当時)が、現地時間2日に機内で酒に酔って乗客にけがを負わせて諭旨解雇処分になったほか、ANAウイングス(AKX/EH)の機長が飲酒で体調不良となり、25日に乗務予定だった便に遅延が生じた。日本航空(JAL/JL、9201)では、副操縦士が乗務前の飲酒により、英国で現地時間31日に逮捕されている。
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国土交通省
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