ユーグレナ(2931)は11月2日、横浜市鶴見区に建設していたミドリムシを用いた国産バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの竣工式を開いた。2020年にバイオジェット燃料を使った日本初の有償フライトを実現し、2025年には商業プラント稼働、2030年にはバイオ燃料を年産100万キロリットル供給できる体制を目指す。
ユーグレナは、ミドリムシから抽出した油脂や廃油などを原料とするバイオジェット燃料の研究を2010年5月から、バイオディーゼル燃料の研究開発は2014年6月からいすゞ自動車(7202)と開始。バイオジェット燃料の実用化は、全日本空輸(ANA/NH)が協力する。
実証プラントは、横浜市が「環境・エネルギー分野の拠点形成」を目指す京浜臨海部のAGC(旧・旭硝子)京浜工場内に建設し、10月31日に竣工。敷地面積は7787.6平方メートル、製造能力は日産5バレル、製造量は年産125キロリットルで、投資総額は神奈川県や横浜市からの女性を含めて約58億円となった。
バイオ燃料は当初、廃食油9割とミドリムシ油脂1割の配合でスタートし、実証実験の中で配合比率などを検証していく。プラント内は、原料となるミドリムシ油脂と廃食油からバイオジェット燃料とバイオディーゼル燃料を製造する「反応装置棟」、製造したバイオ燃料を貯める「バイオ燃料タンク」、バイオ燃料に石油系燃料を混ぜたものを貯める「貯蔵タンク」、完成したバイオ燃料を出荷する「出荷場」などが設けられた。
ユーグレナによると、バイオ燃料は既存の化石燃料と比べ、二酸化炭素(CO2)排出量が理論上少ないものになるという。同社の出雲充社長は、「世界ではバイオジェット燃料を使ったフライトが15万回行われている。日本で1回目の国産バイオ燃料を使ったフライトを実現したい」と語った。
課題となるコストについては、実証プラントで2020年に年産125キロリットルを実現時は1リットル当たり1万円かかるのを、2025年に年産25万キロリットルの商業プラントが稼働する際には同100円と、化石燃料に近い価格を目指す。
「2025年の商業プラント稼働後は、採算の合うバイオ燃料を一定の規模感でお示しする。大企業にユーグレナを活用していただき、(30年の年産)100万キロリットルを実現できるよう、バイオ燃料工場を広げていきたい」を抱負を述べた。
出雲社長は「日本はバイオ燃料後進国だ。遅れをとっている日本を、2030年にはバイオ燃料製造の先進国と言われるまで努力を続ける」と意気込みを語った。
ユーグレナはバイオ燃料実用化に向けて、ANAといすゞのほか、横浜市と千代田化工建設(6366)、伊藤忠エネクス(8133)、ひろしま自動車産学官連携推進会議の協力を得て進める。
関連リンク
ユーグレナ
・ユーグレナとANA、20年までに国産バイオ燃料 ミドリムシで飛行機飛ばす(15年12月2日)
・キャセイパシフィック航空、A350-1000初号機受領へ(18年6月8日)