仙台空港を運営する仙台国際空港会社は10月28日、新旅客搭乗施設「ピア棟」の供用を開始した。国内線に就航する、すべての航空会社が利用できる。ピア棟の供用開始により、民営化から30年後となる2044年度の旅客数550万人(国内線435万人、国際線115万人)に対応する。
—記事の概要—
・1日15便
・カジュアルな内装
1日15便
ピア棟発の初便となったのは、日本航空(JAL/JL、9201)グループのジェイエア(JAR/XM)が運航する、札幌行きJL2901便(エンブラエル170型機、登録番号JA212J)。定刻午前7時40分発で、10番搭乗口を利用した。8番搭乗口からは、午前8時5分発の全日本空輸(ANA/NH)の成田行きNH3232便も出発した。
1日15便程度が利用する見込み。初日となった28日は、15便が利用する。
ピア棟の供用開始により、朝や夕方など、便が集中する時間帯の受け入れが可能となる。仙台空港会社の岩井卓也社長は、航空各社からの引き合いがあることを明らかにした上で、「これから頑張らなければならない」と語り、気を引き締めた。
カジュアルな内装
ピア棟は、2017年9月1日に着工。当初計画では平屋だったが、機体を牽引するトーイングカーなど、グランドハンドリング(地上支援)車両が建物の下を通過できるように変更し、徒歩ゲート部分を2階建て、バスラウンジ部分を3階建てにした。名称の「ピア」は英語で桟橋(さんばし)や波止場を意味する。
建築面積は3061.72平方メートル、延床面積は5949.07平方メートルで、工事費は約20億円。搭乗ゲートは5カ所で、徒歩ゲートが3カ所、バスゲートが2カ所となり、待合スペースや事務室なども備える。設計は日建設計で、施工は空港会社に出資する前田建設工業(1824)の東北支店が担当した。
仙台空港の搭乗ゲート数は現在、国内線用が5カ所、国内国際共用が1カ所、国際線用が3カ所の計9カ所。ピア棟の開業で、国内線用徒歩ゲートが3カ所とバスゲートが1カ所の計4カ所増え、合わせて13カ所になる。搭乗口番号では、A2とA3、8、9、10番がピア棟となる。
共用ゲートは現在、国内線用として運用していることから、国内線用は現在の6カ所から10カ所に増える。朝や夕方など発着便が集中する時間帯でも、新規就航や増便が可能になる。また、搭乗ゲート数が増えることで、内際共用ゲートを極力国際線が使用するよう、新路線誘致や増便実現を目指す。
ピア棟の搭乗ゲートと駐機場の間には、伸縮式の屋根付き通路「エプロンルーフ」を設置。雨でもぬれずに搭乗できるようにする。
搭乗口付近には、コンセントや充電用USB端子を備えたテーブルや、宮城県CLT等普及推進協議会から寄贈された木製ベンチを設けたほか、黄緑色やオレンジ、水色など、これまでの旅客ターミナルよりはカジュアルな内装に仕上げた。これらの色は搭乗口ごとに異なる。
搭乗口上部には、モニターを2台設置。左側では便名や出発時刻などを表示し、右側は優先搭乗などを案内する。
ピア棟には売店はなく、自動販売機のみを設置する。
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仙台国際空港
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