機体 — 2018年10月19日 12:59 JST

エアバス・ヘリ、高速実証機Racerの基本設計審査終了

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 エアバス・ヘリコプターズは10月18日、高速実証機「Racer(Rapid And Cost-Efficient Rotorcraft:レーサー)」の基本設計審査が終了したと発表した。患者の緊急搬送や救難救助、人員輸送など、垂直離着陸と高速巡航の両立が求められる機体の実現に向けた研究の一環で、従来のヘリコプターと比べて50%高速な機体を目指す。

エアバス・ヘリコプターズの高速実証機Racer(同社提供)

 レーサーは高速飛行できるヘリコプターの実証機で、プロトタイプの最終組立は2019年10-12月期から始める予定。2020年から約200時間の試験飛行を計画している。当初は操縦性能や高速性、安定性、航空力学などを検証し、第2段階で救急医療サービス(EMS)や捜索救助(SAR)、人員輸送といった分野への適合性を実証する。

 1海里あたりの運航コストを既存機と比べて25%削減し、低騒音化を進める。ローターは大型のメインローターが1つ、主翼端に付ける「ラテラルローター」が左右1つずつで、従来のヘリコプターのようなテールローターはない。エンジンは「エコモード」を設けたロールス・ロイス・チュルボメカ製RTM322が2基の双発機となる。

 エアバス・ヘリコプターズによると、ミュンヘンを起点とした場合、レーサーはベルリンまで1時間15分、パリまで1時間45分、同社の製造拠点があるマルセイユまでは1時間50分で結べるという。

 レーサーのもっとも革新的なコンポーネントの一つであるラテラルローターの「ラテラルドライブシャフト」は、生産が始まっている。イタリアの航空部品メーカー、アヴィオ・アエロ(Avio Aero)が航空機側部のギアボックスハウジングの調達と製造、英ハンブルに拠点を置くGE・アビエーション・インテグレーテッド・システムズ(GE Aviation Integrated Systems)が翼のチタン製クレードル部品製造を担当し、ルーマニアのINCAS/ロマエロ(INCAS/Romaero)がコンポジットサイドパネル、スペインのアエルノバ(Aernnova)がテールパーツの主要構造を製造する。

 エアバス・ヘリコプターズではレーサーのほか、バッテリー駆動の4人乗り次世代機「CityAirbus(シティーエアバス)」などの開発を進めており、ヘリコプターの垂直離着陸技術を発展させた都市交通システムを研究している。

エアバス・ヘリコプターズの高速実証機Racer(同社提供)

エアバス・ヘリコプターズの高速実証機Racer(同社提供)

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Airbus Helicopters
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン

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