日本航空(JAL/JL、9201)のパイロット訓練を取り上げる特集第2回は、世界で採用が進む訓練・審査制度「EBT(Evidence-based Training:証拠に基づく訓練)」を取り上げる。
前回は、パイロット有志がデータベースで自分たちの能力を可視化し、技量を向上する訓練体系「JAL CB-CT」の構築に触れた。データベースソフト「FileMaker(ファイルメーカー)」を駆使し、パイロット自ら構築しているものだ。
こうした操縦技量の可視化と並行して進めているのがEBTで、2017年4月に施行された国の新たなパイロット訓練・審査制度「CBTA(Competency-Based Training and Assessment)プログラム」を適用し、EBTを導入した。
CBTAは、航空会社が主体となって訓練や審査の内容を考案したり、改善できる制度で、国の承認を受けることで新しい訓練や審査制度を導入できる。従来の制度は、国が定める要件に従い、訓練や審査を実施してきた。CBTAプログラムでは、航空会社が抱える課題に即したものが導入しやすくなり、JALでは機長と副操縦士のチームワークを重視した訓練などを取り入れている。
CBTAやEBTとは、どういったものなのだろうか。前回お話を伺った運航訓練審査企画部訓練品質マネジメント室の調査役機長である京谷裕太さんと、広報部付担当部長を務める機長の靍谷(つるや)忠久さんに聞いた。靍谷さんは、2010年の破綻後に本格化したJALのパイロット訓練改革を主導してきたメンバーの一人だ。
—記事の概要—
・旧来制度の延長線上ではダメ
・評価される側も評価者も納得
旧来制度の延長線上ではダメ
「昔はちゃんとした操縦+最悪の状況で対応できれば、ライセンスをあげましょう、という考え方でした。しかし、旧来制度の延長線上ではもはやダメだと、世界的になってきています」と、靍谷さんはCBTAやEBTを導入する必要性が高まってきていると説明する。
JALでは、チームとしてのパイロットの業務遂行能力を
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