9月7日から運用を一部再開した関西空港は、台風21号の影響で閉鎖が続く第1ターミナルについても、14日から暫定運用を始める。国土交通省は、職員5人を運営会社である関西エアポート(KAP)に派遣した。アジアを中心とした訪日客の玄関口である関空の早期復旧を目指す。
*14日1タミ再開が正式発表。記事はこちら。
*T1運用再開当日の記事はこちら。
海上空港の関空は、1994年9月4日の開港時から運用している1期島と、2007年8月2日に供用を開始した2期島に分かれている。台風21号の影響で、1期島にある第1ターミナルと、A滑走路が4日に冠水。1タミは日本航空(JAL/JL、9201)や全日本空輸(ANA/NH)など、主にフルサービス航空会社が乗り入れており、地下にある設備が海水被害を受けた。
一方、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)などLCCが利用する第2ターミナルと、B滑走路は2期島にあり、被害が比較的少なかった。このため、2タミを使い7日に国内線を、8日から国際線を、それぞれ一部再開。ピーチは9日の段階で、通常の9割程度まで便数を回復させた。
14日からは、1タミの南側から暫定運用を始める計画。タンカー衝突で損傷を受けた連絡橋は、7日早朝から対面通行ができるようになり、関空と対岸を結ぶ臨時シャトルバスも、8日からJRと南海電鉄の「りんくうタウン駅」発着になった。従来の泉佐野駅よりもバスを定時運行しやすくなり、乗客の輸送手段に一定のめどがついた。冠水したA滑走路や1タミ地下施設などの排水作業も、山場を越えたことから、1タミも暫定運用の見通しが立った。
アクセスの主力である鉄道の再開は、4週間後をめどとしており、関空の全面復旧までには時間がかかる可能性がある。KAPは関空の全面復旧まで、伊丹空港に1日あたり40便、神戸空港に30便の計70便の振り分けを検討している。
関空は2016年4月1日に、伊丹とともに民営化された。国に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で、KAPに運営委託されている。
KAPの株式は、オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートが40%ずつ、関西を拠点とする企業・金融機関30社が残り20%を保有。契約期間は2015年12月15日から2060年3月31日までの44年間を予定している。神戸も、今年4月からKAPの100%子会社である「関西エアポート神戸」が運営しており、KAPが関西3空港を一体運営する形になっている。
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