日本航空(JAL/JL、9201)とガルーダ・インドネシア航空(GIA/GA)は現地時間9月6日、包括提携を締結したと発表した。冬ダイヤが始まる10月28日から、両国路線などでコードシェア(共同運航)を開始し、将来的な共同事業(JV)へ向けて協議を進める。ガルーダは、全日本空輸(ANA/NH)との提携も継続する。
—記事の概要—
・10路線でコードシェア
・ガルーダ、1年後にJV先選択
・JALは1路線、ガルーダ4路線
・アライアンス外と締結加速のJAL
10路線でコードシェア
両社の10路線が対象に、コードシェアを開始する。双方の日本-インドネシア路線のほか、JALの日本国内線、日本以遠の北米線、ガルーダが運航するインドネシア国内線が対象となる。
ガルーダは運航する4路線に、JALの「JL」便名を付与。ジャカルタ-羽田とデンパサール(バリ島)-成田、ジャカルタ-スラバヤ、ジョグジャカルタの各線が対象となる。
JALは6路線に、ガルーダの「GA」便名を付与。成田-ジャカルタのほか、成田-ニューヨーク、ロサンゼルスの北米2路線、羽田-札幌、中部、福岡の国内3路線を対象とする。
JALはワンワールド・アライアンス、ガルーダはスカイチームと、異なる航空連合に加盟している。ガルーダは2013年12月に、全日本空輸(ANA/NH)と包括提携を締結し、二国間の路線のほか、双方の国内線でもコードシェアしている。今回の提携により、ANAとの提携は解消せずに継続。ガルーダの一部路線では、冬ダイヤ以降「JL」便名とANAの「NH」便名が並ぶことになる。
ガルーダ、1年後にJV先選択
ジャカルタにあるガルーダの本社で会見に臨んだJALの藤田直志副社長は、ワンワールドの加盟社は、南アジアと東南アジアが少なく、ガルーダは太平洋路線がないと説明。「ワンワールドとしては、ホワイトスペース(未就航地)を埋めるのが課題だった。ここ1年くらいで話が進んだ」と述べた。
ガルーダのパハラ・ヌグラハ・マンスリ社長兼CEO(最高経営責任者)は、JALと提携することについて、ANAは「致し方ない」という反応だったと述べ、「(JALとの提携で)販売チャンネルが増えることもあり、サービス品質を含め、ANAには納得いただいた」とした。
今後1年程度かけて、ガルーダはJV先について、JALかANAのどちらかを選択する。JALの藤田副社長は、ガルーダがANAと提携を継続することについては「コードシェアは構わない」とする一方で、「JVは相手の航空会社に一定の送客をする。互いにメリットがないと成り立たない商売」と述べた。「JALのフィロソフィーは『利他』。JVにどちらが選ばれるかが大きなポイント」と、JV開始に向けた意気込みを語った。
日本とインドネシアの両国は1958年に国交樹立。2018年は60周年を迎え、交流促進が期待される。
JALは1路線、ガルーダ4路線
JALのインドネシア路線は1路線のみ。夏ダイヤでは、成田-ジャカルタ線を1日2往復運航している。
ガルーダの日本路線は4路線で、ジャカルタからは羽田と関西に、デンパサールからは成田と関西に乗り入れている。ジャカルタ-関西線は週3往復で、そのほかの3路線は1日1往復運航する。
2014年12月まで同社を率いていたエミルシャ・サタル元社長は、路線拡大を推し進めていた。同年12月に就任したアリフ・ウィボウォ社長兼CEO(当時)は、再編により路線を縮小。2017年4月のマンスリ社長兼CEOの就任以降も、この方針を踏襲している。
2015年1月からは、供給過剰だったジャカルタ-成田線のほか、デンパサール-羽田線も運休。同年3月に開設予定だったジャカルタ-中部(セントレア)線は、ウィボウォ前社長が進めた経営施策の一環で、就航を延期している。
アライアンス外と締結加速のJAL
JALは国の監視期間が終わった2017年4月以降、アライアンス外の航空会社と関係を構築することで、国際線路線網の強化を進めている。
同年7月にベトナムのベトジェット航空(VJC/VJ)、同年9月にインドの財閥タタ・グループの新興航空会社ビスタラ(VSS/UK)と提携。9月26日には、ハワイアン航空(HAL/HA)と包括的業務提携の契約を締結し、今年の夏ダイヤ初日となる3月25日から、コードシェア(共同運航)とラウンジの相互利用を始めた。現在は共同事業(JV)の実施に向け、国土交通省と米国運輸省(DOT)に、日本-ハワイ線での独占禁止法適用除外(ATI)を申請している。
今年8月には、中国東方航空(CES/MU)とJVの実施に向けた覚書を締結。訪日需要が旺盛な中国市場の取り込みを強化する。
*藤田副社長へのインタビューはこちら。
関連リンク
日本航空
ガルーダ・インドネシア航空
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