航空需要が世界的に拡大する中、より多くのパイロットが求められている。ボーイングによると、2037年までの20年間で新たに必要とされる民間機パイロットは63万5000人にのぼるという。
パイロットの争奪戦が世界規模で行われる中、航空会社では人数を確保するだけではなく、新人パイロットの育成や、訓練内容の充実が課題となっている。
国内の航空会社が自社養成するパイロット訓練生の訓練内容に目を向けると、「MPL(マルチクルー・パイロット・ライセンス)」と呼ばれる新方式を、日本航空(JAL、9201)が2014年4月に初導入。ICAO(国際民間航空機関)で2006年に規定され、日本では2012年に法制化された制度で、期間を従来より約半年短縮できるだけではなく、2人のパイロットがチームで運航する能力を、訓練の初期段階から身につけられるものだ。
JALではMPL導入のほか、パイロット有志がデータベースで自分たちの能力を可視化し、技量を向上する訓練体系「JAL CB-CT」を構築。2010年1月に経営破綻した際、資格維持以外の訓練ができなくなったことで、従来から構想を温めてきた新しい訓練体系が導入しやすい環境になり、2012年3月にデータベースの自社開発に成功した。
今回から数回に分け、米フェニックスやグアムでの実機訓練を含め、JALのパイロット訓練を特集する。第1回は、パイロットの手によるCB-CTのデータベース開発を取り上げる。
—記事の概要—
・フライトの評価要素を洗い出す
・教える側も平準化
・データ量減らしつつ質を担保
フライトの評価要素を洗い出す
JALがCB-CTで使っているデータベースソフトは、「FileMaker(ファイルメーカー)」だ。カード型データベースから発展したFileMakerは操作が簡単で、パイロットが自ら改良を進めていくには適したデータベースだ。
紙ベースで作ったものをデータ化するところから始まり、2012年にデータベースが完成。今年4月には8世代目「CB-CT8」が稼働した。
CB-CTのデータベースでは、「路線」や「技能」「定期」「養成」といったパイロットの訓練が、計画通りに進んでいるかなどを可視化し、教官がモニターできる。各パイロットの何が
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