全日本空輸(ANA/NH)とJAXA(宇宙航空研究開発機構)は8月27日、成田-ヒューストン線で「宇宙フライト2018」を9月に実施すると発表した。日本人宇宙飛行士が食べる「宇宙日本食」のビーフカレーなどを、機内食で提供する。
ANAは今年1月に、宇宙事業化プロジェクトを社内で立ち上げた。宇宙に関連した取り組みについて、部署をまたいで進めていくもので、今回の宇宙フライトがプロジェクト第1弾となる。宇宙日本食の機内提供は初めて。
宇宙日本食は、JAXAが国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する日本人宇宙飛行士のパフォーマンス維持・向上と、精神的なストレス低減を目的に認証しているもの。16社32品目を認証しており、今回機内ではビーフカレーのほか、羊羹(ようかん)とキシリトールガム、緑茶の4品を提供し、乗客に宇宙を身近に感じてもらう。
ビーフカレーはハウス食品(2810)が手掛けるもので、JAXAの認証は2007年6月に取得。宇宙空間では骨が弱くなるためカルシウムを強化し、無重力の宇宙船内では味覚が変化することから、スパイスが効いた濃い味になっており、どろっとしているという。また、ウコンを同社通常品の2倍強に増量している。
宇宙フライトの対象路線は、NASA(米航空宇宙局)のジョンソン宇宙センターがあるテキサス州ヒューストンと日本を結ぶ成田-ヒューストン線。期間は「宇宙の日」の9月12日から「空の日」の20日までで、宇宙の日は1992年にJAXAの毛利衛宇宙飛行士(当時)が、日本人として初めてスペースシャトルに搭乗したことを記念して定められ、空の日は同じく1992年に民間航空再開40周年で制定された。
機内では宇宙日本食の提供のほか、ANA出身の大西卓哉宇宙飛行士が出演するビデオ放映などを行う。ビーフカレーの提供は成田発NH174便のみで、エコノミーとプレミアムエコノミーでは、メインメニューの選択肢として用意。ファーストとビジネスでは、好みのタイミングで注文できる軽食のひとつとして提供する。その他の3品は、ヒューストン発NH173便でも用意する。
成田-ヒューストン線の運航スケジュール
NH174 成田(11:15)→ヒューストン(09:30)
NH173 ヒューストン(11:30)→成田(翌日15:20)
・JAXA、電動航空機のコンソーシアム 官民でCO2削減目指す(18年7月2日)
・ボーイングとJAXA、晴天乱気流の検知試験 ちりにレーザー照射(17年8月2日)
・大西宇宙飛行士、古巣ANAに紙飛行機返還「宇宙では昇降舵いじらないとまっすぐ飛ばない」(17年7月13日)
・ANA、成田-ヒューストン就航 目標搭乗率75%、ファーストクラスでVIP需要狙う(15年6月12日)