国土交通省航空局(JCAB)は、航空機の検査制度を見直す方向性を7月10日に公表した。三菱航空機が開発中の「MRJ」に対し、製造国の航空当局として検査するにあたり、欧米で一般的になっているやり方などを取り入れ、現状に即したものに見直すことで、国産旅客機の国際市場参入やシェア拡大を制度面で支援していく。
JCABは制度の課題を洗い出すため、有識者による「航空機検査制度等検討小委員会」を今年3月から7回にわたり開いた。制度見直しの方向性として、航空機の二酸化炭素(CO2)排出基準や、耐空性維持、装備品の整備・交換、国による予備品証明検査などについて、実情にあったものに改める。
CO2排出基準については、国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)が2020年1月以降、航空機の種類ごとに順次適用する新基準を審査に盛り込む。また、耐空性維持に関しては、機体メーカーを通じて不具合情報を収集したり、修理計画を設計国として承認する仕組みの構築を挙げた。
欧米と考え方に違いがあるものについても、見直し対象に含めた。欧米では、国が認めた認定事業場などが安全性を保証した装備品以外は航空機に取り付けられないのに対し、日本では現在、エンジンやプロペラなどの「重要装備品」以外は、航空機使用者の責任で取り付けられる点を見直す。
見直し時に留意すべき点として、民間の事業者に過大な負担にならないことや、海外の航空当局との相互承認協定の早期締結などを挙げた。また、制度の活用が十分に進んでいない「航空機整備検査認定事業場」の活用促進なども進める。
MRJは、現時点で2020年半ばの初号機引き渡しを計画。JCABは、今冬以降に制度見直しの最終とりまとめに向けた審議を実施する。
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