キャセイパシフィック航空(CPA/CX)は現地時間6月19日、エアバスA350-1000型機の同社向け初号機(登録番号B-LXA)を仏トゥールーズで受領した。初の商業運航は、7月1日の香港-台北線のCX484/485便で、9月に開設するワシントンDC線など長距離路線に投入する。
—記事の概要—
・17時間のワシントンDC線投入
・操縦資格はA350-900と共通
17時間のワシントンDC線投入
A350-1000は、エアバスの最新鋭機A350 XWBの長胴型。キャセイは20機発注済みで、2号機は7月に受領する見通し。2021年までの4年間で、全機が引き渡される見込み。当初は台北線に毎日投入し、その後マニラや関西空港などアジア地域の中近距離路線で、乗員の慣熟を進める。
初便となるのは、7月1日の香港発台北行きCX484便で、香港を午後2時50分に出発し、午後4時45分着。台北を午後5時50分に出発するCX485便で午後7時45分に香港へ戻る。
9月15日に就航するワシントンDC線は同社最長路線となり、フライト時間は約17時間となる見込み。その後、10月28日導入のマドリード線、テルアビブ線、アムステルダム線、マンチェスター線、チューリッヒ線への投入を計画している。
座席数は3クラス334席で、ビジネス46席、プレミアムエコノミー32席、エコノミー256席で、3クラス280席(ビジネス38席、プレミアムエコノミー28席、エコノミー214席)のA350-900と比べて54席増える。
シートはA350-900と同一仕様。ビジネスは、全長191センチのフルフラットベッドになるタイプで、1-2-1席配列。シートを斜めに配置するヘリンボーン配列で、収納スペースを手の届く範囲に多く配置し、小物やノートパソコンなどをしまいやすくした。プレミアムエコノミーは2-4-2席配列、エコノミーは3-3-3席配列となる。また、機内Wi-Fiサービスも完備する。
キャセイはA350-900を26機発注しており、22機運航中。A350-1000も含め全機が引き渡されると、A350は48機体制になる。2016年5月のA350-900初号機(B-LRA)の受領以降、デリバリーフライトには、バイオ燃料を10%混合したジェット燃料を使用している。
キャセイのポール・ルー・カスタマー&コマース最高責任者は、「燃費や環境性能が高く、乗客にはすばらしい客室を備えた、エキサイティングな飛行機だ」とアピールした。
操縦資格はA350-900と共通
A350-1000は、システムの95%がA350-900と共通で、タイプレーティング(機種別操縦資格)も共通。主翼の後縁が改良され、メインランディングギア(主脚)は従来の4輪から6輪に改められた。エンジンは英ロールス・ロイス製トレントXWB-97を搭載する。
エアバスのエリック・シュルツCCO(最高営業責任者)は、「A350-900のパイロットは、追加訓練なしに乗務できる」と、A350-900との共通性を強調した。
エアバスの受注リストによると、5月末現在、A350 XWBの受注は847機で、このうちA350-1000は12顧客が168機を確定発注。A350-1000の引き渡しは1機のみで、カタール航空(QTR/QR)へ初号機(A7-ANA)を2月20日に引き渡している。
日本の航空会社では、日本航空(JAL/JL、9201)がボーイング777型機の後継機として、A350-900とA350-1000を合わせて最大56機導入する。確定発注はA350-900が18機、A350-1000が13機の31機で、2019年にA350-900の国内線仕様機から導入を予定しており、6年程度で777を置き換える。A350-1000は、長距離国際線用777-300ERの後継となる見通し。
運航スケジュール
CX484 香港(14:50)→台北(16:45)
CX485 台北(17:50)→香港(19:45)
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