空港で保安検査を実施する係員がスキルを競う「保安検査コンテスト」(主催:国内定期航空保安協議会)が、羽田空港国際線ターミナルで初めて開かれた。14空港15チームの30人が参加し、羽田国内線第2ターミナルを担当する警備会社全日警が優勝した。
搭乗時のチェックイン手続きが簡素化されたことで、航空会社のカウンターに立ち寄らず、保安検査場へ直接向かう乗客が増えている。このため、乗客が空港で最初に接するのは、航空会社や受託会社の地上係員ではなく、保安検査を担う警備会社の係員になることが多い。
今回初開催となったコンテストは、2020年に開かれる東京オリンピック・パラリンピックに向け、保安強化と検査品質向上を目指して実施。全日本空輸(ANA/NH)や日本航空(JAL/JL、9201)など国内の航空会社14社が加盟する、国内定期航空保安協議会が主催した。
コンテストには、全国14空港から15チームが2人1組で参加。空港の規模を3つに分け、各カテゴリーから5空港ずつ選出し、羽田は国内線第1と第2ターミナルから出場となった。参加空港を選出する際は、直近1年間にANAとJALが実施した保安検査場に関するアンケート結果などを基にし、各空港が参加する係員を決めた。
審査は、会場に設けられた保安検査場で、実技を実施。各空港の係員2人が案内担当と接触検査担当に分かれ、10分の制限時間内で検査した。このところ訪日客が国内線を利用するケースが増えていることから、日本語も英語も話せない外国人役を航空会社の外国人社員が演じるなど、実態に合った乗客役が登場した。
審査の結果、羽田空港第2ターミナルを担当する全日警の齋藤秋江さんと橋本淳さんのチームが優勝。準優勝は熊本空港を担当する熊本空港警備の藤川大貴さんと榊原野々子さん、第3位は鹿児島空港を担当する鹿児島綜合警備保障の髙嶺雄太さんと中村紅琳(あかり)さんのチームとなった。
優勝した齋藤さんは、「お客様の側にたち、笑顔で威圧感を与えないよう心掛けました。外国人のお客様は増えており、言葉が通じない時は表情と身振り手振り、笑顔で応対しています」と話した。
勤続4年8カ月の齋藤さんと組んだ橋本さんは1年2カ月と、日々いろいろなことを学んでいるという。「コンテストではすべてを学びました」(橋本さん)と、他空港の検査の仕方などから学んだことが多かったという。
閉会式であいさつした、JALの阿部孝博空港本部長は、「航空保安は今後さらに厳しくなるが、日本の保安検査場は世界で一番人に温かいと思う。毎日が違うことでプレッシャーだらけだが、空の安全を一緒に守っていきたい」と述べた。
閉会後は、出場者と関係者全員で、「空の安全・安心は私たちに任せて! OK!!」と声を上げ、安全を誓った。
*写真は8枚。
参加空港のカテゴリー
大規模
新千歳、羽田(第1、第2)、関西、那覇
中規模
松山、熊本、宮崎、鹿児島、石垣
小規模
旭川、三沢、福島、静岡、石見
・ANA、国内最優秀空港に旭川 海外は台北、第12回クオリティアワード(18年5月26日)
・JAL、空港接客No.1に羽田・永見さんと釜山・キムさん 聴覚障がい対応も(18年3月3日)
・JALグラハンコンテスト、成田が2連覇 バルクは宮古優勝(17年10月27日)
・ANAのCA達人コンテスト、米路線チーム「こめざんまい」優勝 チームワーク光る(17年12月9日)
・ANAの空港接客コンテスト、神戸の中村さん優勝 第10回大会、海外空港も参加(17年12月6日)
・ANAテレマート、札幌3連覇 電話応対コンテスト(17年11月9日)