日本航空(JAL/JL、9201)は5月29日、社内外の人たちが交流し、新しいアイデアをビジネスに発展させる研究拠点「JALイノベーションラボ(JAL Innovation Lab)」を報道関係者に公開した。空港や客室の動線を再現したスペースを設け、機内や空港で使う設備や機器を3Dプリンターで試作したり、外部のパートナーを交えて作業するコワーキングスペースなどを用意した。
JALは2月28日に発表した中期経営計画のローリングプランで、新しい価値の創造を掲げている。ラボは、従来の価値観にとらわれない発想を具現化していくためのスペースとして、東京・天王洲の本社近くに新設。広さは472.68平方メートルで、4月20日にオープンした。
ラボ内はアイデアを素早く形にできるよう、大きく分けて3つのエリアで構成。アイデアを発想するエリア、プロトタイプ(試作品)を3Dプリンターなどで制作するエリア、空港や機内をイメージし、プロトタイプを並べて検証するエリアを設けた。
さらにこれを、チェックインカウンター、フリースペース&ハドルルーム、ステージ、ダイニング&キッチン、クラフトルーム、搭乗ゲート&キャビンモックアップ、ラウンジ、プロジェクトルームの8つに分けた。空港や客室の動線を取り入れることで、サービスを検証しやすくしたという。
客室モックアップは、エアバスA350-900型機やボーイング777-300ER型機など、通路が2本ある「ワイドボディー機」の広さを再現。従来は会議室や夜間に訓練用モックアップを使っていた検証作業を、即座に行えるようにした。
ラボの運営は、昨年6月に発足した「デジタルイノベーション推進部」を中心に、社内の各部門の関係者や、グループ社員を巻き込む形で進める。外部パートナーも、2020年には100社を超える規模に広げていく。
ラボを担当する西畑智博執行役員は、「VRやAI、ロボット、3Dプリンター、IoT、スマートデバイスなどを活用して、あらゆる領域でイノベーションを起こしていきたい」と語った。「シートのひじ掛けの形状など、メーカーで試作する以前の段階で、3Dプリンターを使って手触りを確かめたい。本社で考えるだけでは、机上の空論だ」と狙いを話した。
ラボは寺田倉庫(品川区)の倉庫を改装したもの。「2年契約で借りており、成果を出しながら進めたい。より広い場所に借り換えるなど、2年間で広げていきたい」と抱負を述べた。
*写真は12枚。
*詳報を別途掲載します。
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