オーストリア航空(AUA/OS)が、ウィーン-成田線を1年8カ月ぶりに再開した。5月16日の初便には、音楽の都ウィーンにちなみ、機体左側にヨハン・シュトラウスII世が作曲したウインナー・ワルツ『美しく青きドナウ』のメロディーが描かれたボーイング777-200ER型機(登録番号OE-LPD)が投入され、オーストリアと日本両国の国旗を掲げて成田空港へ到着した。
オーストリア航空はウィーン-成田線を1989年7月に開設したが、2016年9月4日の成田発ウィーン行きOS52便が最終便となり、日本から撤退。再就航後の運航スケジュールは、成田発が月曜から木曜と土曜の週5往復と、以前の1日1往復(週7往復)から減少したものの、機材はプレミアムエコノミークラスを設けた777-200ERを投入している。
同社が属するルフトハンザグループで、オーストリア&スロバキア地区セールス担当シニアディレクターを務めるシュテファン・リンハルト氏と、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)の日本・韓国支社長を務めるドナルド・ブンケンブルク氏に、成田線再開の狙いなどを聞いた。
—記事の概要—
・観光需要が大半占める
・プレエコはツアー客に照準
観光需要が大半占める
オーストリア航空が今回、日本への再就航を決めた要因について、リンハルト氏は為替の変化と、テロなどで低迷していた日本から欧州への渡航需要が戻りつつあること、日本政府が欧州からの訪日を後押しする政策を進めていることを挙げた。
成田線の観光需要と商業渡航需要の比率については、「正確な数字は言えないが、明らかに観光が大きい。ウィーンは観光に魅力的な都市だ」(リンハルト氏)と説明する。
また、日本発需要が成田線の7割を占め、オーストリアが10%、残りはチェコやハンガリーなど、ウィーン経由で乗り継ぐ周辺諸国からだという。一方、現段階ではデイリー化の具体的なスケジュールはないとした。
ビジネスクラスでは、ウインナーコーヒーなど、数多くのコーヒーを揃えているのが特徴だ。「成田線のビジネスクラスでは、機内食を4種類用意しており、2つが洋食、2つが和食だ。シェフが料理を仕上げるほか、日本人も乗務している」(リンハルト氏)と、日本人向けのサービスに力を入れているという。
プレエコはツアー客に照準
昨秋からは、プレミアムエコノミーの導入を開始した。ブンケンブルク氏は、ルフトハンザの成功例を引き合いに、「何年か前にルフトハンザがプレミアムエコノミーを導入した際、ツアー客に売れた。オーストリア航空も同様で、ツアーでエコノミーからのアップグレードが期待でき、予約も順調だ」と、自信を示す。
また、日本市場ではウィーン以外の都市周遊を訴求したいという。「ウィーン発のバスで色んなところへ行き、再びバスで戻ってくるルートがポピュラーだ」(ブンケンブルク氏)として、東欧諸国への玄関口となるウィーン空港での乗り継ぎに加え、バスツアーの良さも紹介していく。
日本市場についてリンハルト氏は、「日本は品質に厳しく、航空会社に対する期待が欧州に比べて高い」と話す。
一方で、「日本人は旅行に出掛ける際、かなり前から計画するが、欧州は『週末どこかへ出掛けよう』という感じだ。航空会社にとっては、前もって見通しが立つので、日本のお客様はありがたい」と笑う。
リンハルト氏は「個人的な意見だが、日本のお客様はロイヤリティーが高い。期待するクオリティーを実現できれば、ずっと使っていただける。その逆もしかりだが」と、品質の高いサービスの実現により、リピーター獲得を目指す。
後編では、このところ存在感を増す中長距離LCCをどう見ているかや、ウィーン空港のアピールポイントなどを聞く。
(後編に続く)
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オーストリア航空
特集・オーストリア航空 成田再就航
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