仙台空港を運営する仙台国際空港会社は5月14日、10月の完成を目指して建設が進む旅客搭乗施設「ピア棟」を報道関係者に公開した。今後の新規就航や増便に対応できるよう、11月の供用開始を予定している。
仙台空港は、2016年7月1日に国管理空港として初めて民営化された。2017年度の旅客数は、過去最高となる前年度比8.7%増の343万8630人で、2006年度以来11年ぶりに記録を更新。国内線が7.5%増の315万8243人、国際線が24.3%増の28万387人だった。
今回のピア棟建設により、民営化から30年後となる2044年度の旅客数550万人(国内線435万人、国際線115万人)に対応する。
—記事の概要—
・新設ゲートは5カ所
・利用料低減で路線誘致
新設ゲートは5カ所
2017年9月に着工したピア棟は、既存ターミナル西側に増築する形で整備。当初計画では平屋だったが、機体を牽引するトーイングカーなど、グランドハンドリング(地上支援)車両が建物の下を通過できるように変更し、徒歩ゲート部分を2階建て、バスラウンジ部分を3階建てにした。
建築面積は3061.72平方メートル、延床面積は5949.07平方メートルで、工事費は約20億円。搭乗ゲートは5カ所で、徒歩ゲートが3カ所、バスゲートが2カ所となり、待合スペースや事務室なども備える。
現在の国内線用搭乗ゲートは6カ所で、内訳はPBB(搭乗橋)ゲートが4カ所、バスゲートが2カ所。ピア棟建設後は、PBBが4カ所、徒歩が3カ所、バスが3カ所の計10カ所に増える。これに既存の国際線用PBBゲート2カ所とバスゲート1カ所を合わせると、13カ所になる。
ピア棟の搭乗ゲートと駐機場の間には、伸縮式の屋根付き通路「エプロンルーフ」を設置。雨でもぬれずに搭乗できるようにする。
利用料低減で路線誘致
仙台空港会社の岩井卓也社長は、ピア棟が550万人対応である点を踏まえ、「相当前倒しで進めている。既存ターミナルに増築することで、保安検査場などは既存設備を活用できる」と説明。「LCC専用にする意図はなく、どの航空会社にも使っていただきたい」と述べた。
岩井社長は「空港の満足度調査で、評価が低いのはまだまだ便数が足りない点。増便実現が利便性向上につながる」と述べ、着陸料や施設利用料といった航空会社が仙台空港へ就航する際に負担する費用を抑えることで、誘致を進めていく考えを示した。
「欧州最大の航空会社は、LCCのライアンエア(RYR/FR)。カジュアルに飛行機に乗っていただく時代が、この国にも来ると思う。それを見越した投資だ」(岩井社長)と語った。
また、LCC専用としない理由については、「仙台空港の規模では、悪天候や機材故障が発生した場合、なるべくすべての航空会社がすべての搭乗口を使える方が良い。搭乗口が使えないことで、飛べないリスクを減らすことが大事だ」と、ターミナル運営は低コストにする一方で、航空会社を制限しないことが円滑な運用につながるとした。
*写真は16枚(提供写真、イメージイラスト除く)
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仙台国際空港
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