2020年の全面リニューアルに向け、伊丹空港の改修工事を進めている運営会社の関西エアポートは、ターミナル中央エリアを4月18日に先行オープンする。現在2つに分かれている到着口を中央1カ所に集約するほか、商業エリアに世界初となる空港内ワイン醸造所を併設する飲食店などを新設し、大幅に刷新する。オープン1週間前となる11日、中央エリアと展望デッキを報道関係者に公開した。
―記事の概要―
・世界初、空港内ワイン醸造所
・到着口は2階に集約
・ワイヤーは7センチ間隔
・完成は20年8月
世界初、空港内ワイン醸造所
今回オープンする中央商業エリアには34店舗が入り、このうち30店舗が新規出店。物販と飲食2店舗ずつ、計4店舗をリニューアルする。出発口と到着口がある2階には、カフェ「ル・パン神戸北野」や寿司店「がんこ」など関西の有名店が出店し、物販はカステラなどを扱う「黒船」、キャラクターグッズの「ポケモンストア」、アクセサリーの「スワロフスキー」などが新たに店舗を構える。また、世界初のキットカット専門店「キットカット ショコラトリー」もオープンする。
弁当や総菜のほか、和洋スイーツなどの土産物は、1カ所に集中。「関西旅日記」と命名した。
世界で初めて空港内にワイン醸造所を併設するワインバル「大阪エアポートワイナリー」は、3階にオープン。店内の醸造タンクでは4月に入り、赤と白のワインの醸造を開始した。
このほか、3階は利用者が1時間程度滞在することを想定した店舗構成とし、お好み焼きの「大阪お好み焼き清十郎」や、海鮮料理の「海キッチン KINOSAKI」などが出店する。
到着口は2階に集約
伊丹のターミナルは、大阪万博開幕を控えた1969年に開業し、全面リニューアルは49年ぶり。現在1階にある到着口は、南側が全日本空輸(ANA/NH)、北側が日本航空(JAL/JL、9201)と二分されているが、リニューアル後は中央エリア2階に集約する。
ターミナルとモノレール駅間にはペデストリアンデッキ(立体連絡通路)を新設し、保安検査場と直結。モノレールやリムジンバス、タクシーに到着口から100メートル以内で乗り継げるよう改修し、利便性を向上させる。
ワイヤーは7センチ間隔
展望デッキなど屋上エリアは、伊丹発着便の利用者だけではなく、周辺住民にも利用される施設を目指す。展望デッキは滑走路側に約20メートル増床し、面積は現在の約5400平方メートルから約7700平方メートルと、約1.5倍に拡張する。
老朽化した展望デッキの床は張り替え、イベントに使えるステージを設置。デッキ一部には天然芝を張り、屋上を緑化する。また、滑走路に面する場所は7センチ間隔のワイヤーフェンスを採用し、離発着する飛行機を撮りやすい展望デッキにする。
展望デッキのある屋上エリアには、カフェ&ダイニング「NORTHSHORE」が新規出店。2フロア吹き抜けで、食事しながら離着陸を見ることができる。キャラクター雑貨などを取り扱う「よしもとエンタメショップ」や、親子向け複合遊戯施設「ボーネルンドあそびのせかい」も出店する。
また、ANAグループが乗り入れる南側には、三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」など、小型機に対応したフィンガーを新設する。
完成は20年8月
4月18日の先行オープン後は、2019年春をめどに、北側に立体駐車場を新築。ターミナル全体では、東京オリンピック・パラリンピック開催直前の2020年4月には95%の工事を終え、8月までには完了する見通し。
2020年の全面リニューアル時には、関西空港に導入した「ウォークスルー型商業エリア」を搭乗口前に新設し、ムービングウォーク(動く歩道)を増設。保安検査場のスマートレーンも、本格運用を始める。
*写真は17枚。
関連リンク
大阪国際空港
特集・関空山谷社長インタビュー
前編 関空-ロンドン、復活のカギ握るビジネスクラス(18年1月15日)
後編 神戸空港民営化「20年間で勝負考える」(18年1月22日)
伊丹リニューアル
・伊丹空港、49年ぶりにリニューアル 中央エリアが先行開業(18年4月18日)
・伊丹、世界初の空港内ワイン醸造所 4月に先行開業、展望デッキはワイヤーに(18年1月30日)
・伊丹空港、展望デッキ閉鎖 18年春リニューアル(17年12月4日)
・伊丹空港、新降車レーンが20日開業 5分超は有料、駐輪場など収益化進む(17年11月17日)
・伊丹空港、南北結ぶ中央エリア封鎖 9月から改修(16年8月15日)
・伊丹空港、リニューアル開業20年8月に 到着口集約、MRJ桟橋新設(16年2月28日)
・伊丹空港、MRJ対応の桟橋新設 45年ぶり改修で到着口を中央集約(14年9月2日)
・空港民営化でサービス低下の皮肉(17年8月31日、日経ビジネス連載)