神戸空港の運営が民営化された4月1日、運営会社の関西エアポート神戸が記念式典を開いた。神戸の民営化で、関西空港と伊丹空港を合わせた関西3空港の一体運営が始まった。
—記事の概要—
・22年度327万人
・大きな変化、臨機応変に
22年度327万人
神戸空港の民営化は、市に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で実施。空港用地と施設は、市が継続して所有する。民営化後は、滑走路の運営と維持・管理の航空系事業と、ターミナルビル運営と維持・管理の非航空系事業を、関西エアポート神戸が担う。事業期間は2060年3月31日までの42年間で、合意した場合は最長で10年延長し、2070年3月31日までの52年間運営できる。
関西エアポート神戸は、神戸空港を運営する特別目的会社(SPC)で、関空と伊丹を運営している関西エアポートが100%出資。社長には関西エアポートの山谷佳之社長、副社長にはエマヌエル・ムノント副社長がそれぞれ就く。関西エアポートの株式は、オリックスとヴァンシが40%ずつ、関西を拠点とする企業・金融機関30社が残り20%を保有している。
同社が市に提出した事業計画によると、2018年度の投資総額は3億円。営業収益は25億8800万円、営業費用は23億8000万円、営業利益は2億800万円、経常利益は7100万円、純利益は4900万円を計画している。
2022年度までの計画値は、旅客数のみ公表。2018年度が313万人、19年度が321万人(18年度比2.6%増)、20年度が323万人(同3.2%増)、21年度が325万人(同3.8%増)、22年度が327万人(同4.5%増)を見込む。
大きな変化、臨機応変に
1日の式典で、神戸市の久本喜造市長は、関西3空港の一体運営について「交流人口拡大や、関西全体の発展につながる」と評価。「空港へのアクセスの充実が必要。今日から三宮などへの直行バスの運行が始まるが、ポートライナーの8両化や道路網の整備もしっかり取り組みたい」(久本市長)と語った。
関西エアポート神戸の山谷社長は、「地域の協力が欠かせない」と3空港一体運営に対する理解を求めた。
民営化による利用者に対する具体的なメリットについて、山谷社長は「関空・伊丹が2年たって、ちょっとずつ変わってきたと見ていただければありがたい。(神戸が)今日からすぐに変わるのは難しいが、3年、5年、10年とたって、変わったと評価いただけたらありがたい。今は変化が激しいが、大きな変化に臨機応変に対応していきたい」と述べるにとどめた。
運用時間の拡大など、航空会社に対するメリットについては、「エアラインがあって空港に利用者が来ていただけるので、使いやすい空港であることが大前提。一方で、騒音など空港が環境に影響を与えるものがあるが、低騒音機の開発も進んでおり、新たに社会が求める環境基準を頭に置いて、徐々に進めていきたい」と語った。
*写真は7枚。
・民営化後の神戸空港、22年度の旅客数327万人 運営会社が中期計画(18年3月6日)
・神戸空港、18年4月民営化 新会社「関西エアポート神戸」運営(17年9月26日)
・神戸空港の運営権、オリックス連合に優先交渉権 関西3空港一体運営へ(17年7月26日)
・神戸空港、運営権売却に関西エアポート、双日ら名乗り(16年12月1日)
特集・関空山谷社長インタビュー
前編 関空-ロンドン、復活のカギ握るビジネスクラス(18年1月15日)
後編 神戸空港民営化「20年間で勝負考える」(18年1月22日)
日経ビジネス連載
・空港民営化でサービス低下の皮肉(17年8月31日)