ボーイング民間航空機部門北東アジマーケティング担当マネージング・ディレクターのダレン・ハースト氏は3月15日、次世代大型機777Xの機内について、787と同等の与圧と湿度を実現すると都内で語った。
777Xはメーカー標準座席数が3クラス350-375席の777-8と、400-425席の777-9の2機種で構成。航続距離は777-8が8700海里(1万6110キロ)、777-9は7600海里(1万4075キロ)を計画している。日本の製造分担割合は、777と同じ主要構造部位の約21%となる。
エンジンは、米GE製GE9Xを2基搭載。翼は炭素繊維複合材を用いて軽量化するとともに、777の主翼よりも長くなることから、翼端を折りたためるようにして、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにする。
777-9については、三菱重工業(7011)や川崎重工業(7012)から胴体パネルが今年2月に初出荷。航空会社への初号機引き渡しは、2020年となる見通し。
ハースト氏は、777Xの機内について「787と同等の与圧と湿度を実現する」と説明。「787の経験に基づく学習で、同等の湿度を維持できることがわかった。一部のストラクチャー(構造材)の強度を高めることで実現する」と語った。
777-9のスケジュールについては、「ロールアウトは今年で、初飛行は明確に決まってはいないが、今年末から2019年初めとなり、引き渡しは2020年初めになるだろう」と、従来の計画通り進むとの見方を示した。777-8は「777-9からだいたい2年遅れとなり、ロールアウトは2020年をめどとすることになるだろうが、2021年になるかもしれない」と述べた。
日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が、777-9を長距離国際線に投入している777-300ERの後継機として、2014年7月31日に20機確定発注。2021年度から受領する見通し。
また、777Xの技術を用いた777F貨物機の後継機について、「今後2020年をめどに造ることになり、貨物市場が堅調に推移すれば、777Xファミリーに加えることになるだろう」と見通しを語った。
一方、従来型777の旅客機を貨物機へ改修する「777BCF」については、「まだ検討中だ。十分な需要があり、採算が合うか見極めなければならない」と述べた。
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ボーイング・ジャパン
777X
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