日本航空(JAL/JL、9201)の地上係員(グランドスタッフ)が接客スキルを競うコンテスト「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」が、東京・羽田の第1テクニカルセンターで開かれた。
第6回となった今回の本選には、国内空港部門9人と海外空港部門4人の計13人が進出。国内部門は羽田空港の国際線担当(KI)の永見愛里さん(25)が、海外部門は釜山空港の金民基(キム・ミンギ)さん(27)が優勝した。羽田は前回第5回に続き2大会連続で通算3回目、釜山は韓国勢としては前回のソウル金浦空港に続いての優勝となった。
—記事の概要—
・大雪で延期
・対応力を重視
・「引き出しの多さ大事」
大雪で延期
コンテストの第1回目は2013年2月、空港のチェックインカウンターを模した「空港サービスモックアップ」を同センター内に設け、1周年を迎えた時に開催。地上係員のサービス向上を目指して始めた。
JALが就航する空港は国内59空港、海外39空港で、地上係員は国内外合わせて約5200人が在籍している。今回は本選を1月23日に開催予定だったが、4年ぶりの大雪の影響で中止。3月までに本選を開けるよう調整し、2日の開催となった。
1月22日に開かれた最終予選には、国内空港部門49人と海外空港部門10人の計59人が進出。この中から、国内は6空港9人、海外は4空港4人がファイナリストとして本選に出場した。
2日の本選は、午前に悪天候などイレギュラー運航を想定した日本語と英語によるアナウンス審査を行い、午後にカウンターチェックインのロールプレイ(実技)で接客スキルを審査した。
対応力を重視
カウンター審査は、外国人や聴覚障がいを持つ人、以前JALを利用した際に定員より多めに予約を受ける「オーバーセールス」を体験して搭乗できるか不安に感じている人など、5人の乗客役を、JALの教官が演じた。1人あたり8分の持ち時間で、多くの人は3人目までの接客となった。
今回、国内部門では2人目に登場する聴覚障がい者への対応が、ポイントとなった。聴覚障がいは、髪が長い女性の場合、耳に補聴器を付けているかがわかりにくいなど、「目に見えない障がい」とも言われており、外国人客への接客なども含めて、出場者が臨機応変に対応できるかが審査された。
国内部門で優勝した永見さんは、搭乗便の遅延案内を見てカウンターを訪れた聴覚障がい者に対し、筆談ボードを使って出発時刻や乗り継ぎの有無などを確認。最後は「ありがとうございました」を表わす手話で見送った。
「引き出しの多さ大事」
審査の結果、国内部門は永見さんが優勝したほか、準優勝は伊丹空港の髙村真由さん、審査員特別賞には福岡空港の荒木愛さんと、大分空港の伊美絢乃さんが選ばれた。海外部門はキムさんが優勝し、デリー空港のアンジュ・シンさんが準優勝となった。
永見さんは優勝を告げられた瞬間、驚いた表情を見せた。「忙しい中、時間を割いて指導してくださったみなさんのおかげで、ここまで来られました。お客様に提案できる引き出しを、どれだけ持てるかが大事だと学びました」と、目に涙を浮かべながら喜びを表わした。
キムさんは、「私は日本語を話せますが、『おもてなし』という言葉はJALに入社して初めて知りました。常にお客様に寄り添うおもてなしは韓国でもJALを売り込むポイントになると思うので、これからも実現できるよう努力したいです」と、流ちょうな日本語であいさつした。
審査員を代表して藤田直志副社長は、「本選と予選に出場した人は、各空港の代表として自信を持って欲しい」と、接戦を繰り広げた出場者をたたえた。
本選に進んだ13人には、アルメリアの花をデザインした銀バッチが貸与された。アルメリアの花言葉は「おもてなし」。銀バッチはJALのおもてなしの模範となる地上係員であることを社内外に対して示すもので、歴代の本選出場者「サービス・アドバイザー」が着用している。
*写真は11枚。
国内空港部門ファイナリスト(本選出場順、敬称略)
平良 あゆみ(那覇空港)
永見 愛里(羽田空港)
荒木 愛(福岡空港)
伊美 絢乃(大分空港)
小阪 由佳里(羽田空港)
長谷川 千紗(関西空港)
壬生 恵香(福岡空港)
朝比奈 瑞歩(羽田空港)
髙村 真由(伊丹空港)
海外空港部門ファイナリスト(本選出場順、敬称略)
アンジュ シン(デリー空港)
ターニャ クヤラ(ヘルシンキ空港)
サイトウ ジュンコ(ロサンゼルス空港)
キム ミンギ(釜山空港)
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