エアバス, エアライン, 機体, 解説・コラム — 2018年2月15日 12:45 JST

JAL植木社長「総額見て手が震えた」 次世代旗艦機A350-1000、日本初飛来

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 「実際に触れて、さわってみて、匂いまで嗅いでこれだな、と確信を持って選定した」と、日本航空(JAL/JL、9201)の植木義晴社長は、エアバスA350 XWBの導入を決めた4年前を振り返った。

 JALは2013年10月7日に、A350 XWBを最大56機導入すると発表。確定発注は、A350-900が18機、A350-1000が13機の計31機で、このほかにオプション(仮発注)で25機購入する契約を締結した。

羽田でA350-1000飛行試験2号機の前に立つJALの植木社長=18年2月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
「総額見て手が震えた」
「匂って触って、伝わってくる感覚」

「総額見て手が震えた」

A350の購入同意書を掲げるJALの植木社長(右)とエアバスのブレジエ社長=13年10月7日 PHOTO: Haruyoshi YAMAGUCHI/Aviation Wire

 JALが確定発注した31機の総額は、カタログ価格で9500億円(当時の為替レート)にのぼる。

 「飛行機はお高いもので、分厚い契約書があり、トータルの金額を見て手が震えたのを覚えている」。2月14日、羽田に初めて飛来した長胴型のA350-1000を前に、植木社長は次世代機の選定という重責を担った当時の心境を明かした。

 旧日本エアシステム(JAS)が合併前に導入し退役済みのA300を除くと、JALがエアバス機を発注するのは初めて。ロールス・ロイス製エンジンの導入も、JALの購入機では初となる。

 JALは2019年度から、標準型のA350-900を国内線に投入する。植木社長は「A350-900の仕様の詰めは大体終わったが、-1000はこれから。ロールス・ロイス製エンジンは初導入なので、2年前から社員を送り込んでいる」と現状を説明。A350-1000は「長距離国際線に導入している777-300ERの後継機として考えている」(植木社長)として、今後導入時期を決める。

 JALにとって、A350-1000はフラッグシップの機体になる。会社の顔をお披露目するベストのタイミングを見計らうようだ。

「匂って触って、伝わってくる感覚」

羽田で公開されたA350-1000飛行試験2号機のコックピット=18年2月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回羽田に飛来したA350-1000は、エアバスが3機保有するA350-1000の飛行試験機のうち、垂直尾翼にカーボン模様の塗装が施された2号機(MSN065、登録番号F-WLXV)。3クラス295席(ビジネス40席、エコノミープラス36席、エコノミー219席)の客室が備えられているが、JALの仕様とは異なる。

 20日のカタール航空(QTR/QR)への初号機納入を前に行われている、中東・アジア太平洋ツアーの一環で、日本には初飛来。これまでにドーハとマスカット、香港、ソウル、台北、ハノイ、シンガポール、バンコク、シドニー、オークランドを訪れており、羽田には14日午前0時すぎに到着した。羽田の滞在時間は20時間ほどで、夜には最後の訪問先であるマニラへ向かった。

 改めて会社の顔となるA350-1000を目にした植木社長は、「(すでに就航しているA350-900で)初期故障がほとんど見られず、選定して良かった。(機内仕様について)社内で意見を公募しており、社員の夢と希望を基に、最高の飛行機に仕上げてお客様に喜んでいただけるよう、努力したい」と話す。

羽田で公開されたA350-1000飛行試験2号機のビジネスクラス。中央に手荷物収納棚がなく広々としている=18年2月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 選定の決め手については、「当時A350のシミュレーターがまだなく、A380のものに乗せてもらったが、すばらしかった。この会社は信頼できるなと思った」(植木社長)とトゥールーズでの体験を振り返る。

 冒頭の「匂い」がどういうものだったかを尋ねると、「匂って触って、伝わってくる感覚」と、五感に訴えかけるものがあったようだ。

 植木社長は機長としてDC-10、747-400、CRJ200の操縦桿を握ってきた。A350のコックピットは、15インチ液晶モニターが6枚並び、タッチパネルも備える最新鋭のものだ。

 「気象レーダーのデータなど昔は苦労して調べていたものを、すぐに見ることができる。今のパイロットはずるい!」と笑う。

日本初公開を終え羽田のA滑走路へ向かうA350-1000飛行試験2号機=18年2月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 A350はコックピットだけではなく、客室も進化している。客室内は高度6000フィート(1829メートル)以下の状態を一定に保てるほか、ビジネスクラスやエコノミークラスといったゾーンごとに空調をきめ細かく管理でき、機内の空気も2-3分ごとに入れ換えることで、快適性を向上させた。

 ビジネスクラスは、今回飛来したの試験機をはじめ、多くの航空会社が客室中央の手荷物収納棚をなくし、開放的な室内になっている。

 現在のフラッグシップである777-300ERの新仕様機「スカイスイート777」の初号機(JA731J)が就航したのは、JALがA350を発注した2013年の1月だった。乗客の五感に訴える次世代のフラッグシップは、どのような機体になるのだろうか。

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