三菱重工業(7011)の子会社三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」に、初のキャンセルが発生した。米国のイースタン航空と結んでいた最大40機の契約がキャンセルとなり、MRJの確定発注は20機減の213機となった。
イースタン航空は、前身のイースタン航空(EAL/EA)の商標などを2009年に取得した経営陣が、2012年に新生イースタン航空として設立。マイアミ国際空港を拠点に中南米やカリブへの就航を計画し、MRJについては、2014年7月に英国で開かれたファンボロー航空ショーでMoU(覚書)を交わし、同年9月に確定発注20機、購入権20機の最大40機の購入契約を結んだ。
ところが、イースタンが経営危機に陥り、2017年に米スウィフト航空へ一部事業を譲渡。イースタンはFAA(米国連邦航空局)に事業免許を返上したため、MRJの契約が宙に浮いた状態になっていた。三菱重工は、秘密保持契約に基づき契約内容を明らかにしていないが、MRJのキャンセルは今年に入り正式合意したとみられる。
今回イースタンの発注分40機がキャンセルとなったことで、MRJの受注機数は、6社から確定発注213機、オプション170機、購入権4機の計387機となった。日本の航空会社では、ローンチカスタマーの全日本空輸(ANA/NH)が25機(確定15機、オプション10機)、日本航空(JAL/JL、9201)が32機(確定32機)発注している。
このほか、スウェーデンのリース会社ロックトンと、MRJを最大20機(確定10機、オプション10機)発注する契約締結に向け、2016年7月に開かれたファンボロー航空ショーで、基本合意(LOI)に至っている。
MRJの納期は当初2013年だったが、5度の延期を重ね、現在公表されているのは2020年半ばとなっている。
イースタンとの契約
・MRJ、米イースタン航空が正式発注 最大40機(14年9月26日)
・MRJ、米イースタン航空から最大40機受注へ ファンボロー航空ショーで覚書締結(14年7月14日)
MRJの動向
・「社内に緊張感ない」MRJ今そこにある危機 最大手エンブラエルは好調アピール(18年1月24日)
・MRJ、塗装工場で初塗装 垂直尾翼にMRJ90ロゴ(17年12月27日)
・三菱航空機、17年3月期純損失511億円 債務超過510億円、MRJ開発費かさむ(17年7月3日)
・MRJ、パリ航空ショー初出展終え離陸(17年6月22日)
・MRJ、試験機の機内公開 水谷社長「将来のビジネスつなげたい」(17年6月20日)
・ANA塗装のMRJ、パリ航空ショー初出展 ル・ブルジェ空港で準備進む(17年6月17日)
・「素材技術で差別化」特集・岐路に立つMRJ、問われる総合力(17年1月24日)
・MRJ、初号機納入2020年半ばに 5度目の延期(17年1月23日)