低コスト航空会社(LCC)の就航やビジネスジェット専用ターミナルのオープンなどが今年相次いだ成田国際空港会社(NAA)は、このほど2012年の10大ニュースを発表した。これを基に、成田空港の1年を当紙の記事とともにまとめた。
LCC
LCC関連では、7月3日のジェットスター・ジャパン(JJP)就航を皮切りに、エアアジア・ジャパン(WAJ)が8月1日に国内線を就航。2社の就航で国内線旅客数は前年比2倍以上に増加した。国際線はWAJが10月28日から仁川線、11月28日から釜山線を就航させ、10月29日からはシンガポール航空(SIA)系LCCのスクート(SCO)が新たに就航した。
また、JJPとWAJ就航などにあわせ、NAAではLCCの本格参入促進を図るため、14年度中の完成を目指して専用ターミナルの整備を開始。現在は国際線は第2ターミナル内、国内線は同ターミナルの南側と北側に開設した暫定施設で対応している。南側は9月12日に、北側は10月23日にオープンした。
空港へのアクセスも、LCC就航にあわせて深夜早朝時間帯の高速バスが運行を始めた。7月以降、京成バスと成田空港交通、京成バスシステムが「東京シャトル」を、平和交通が「THE アクセス成田」を順次運行を開始した。また、東京空港交通のリムジンバスも、8月から新宿線で深夜便を運行している。
LCC関連
・LCCスクート、成田-シンガポール線就航 787は14年から
・エアアジアJ、初便は定時出発 搭乗率65.6%
・ジェットスターJ就航、鈴木社長「自由に旅の形選べる」
・東京駅と成田結ぶ高速バス「東京シャトル」7月3日から 9月まで800円
LCCターミナル関連
・エアアジア・ジャパン、成田LCC新施設利用開始 軽食扱う店舗も
・プレハブの成田LCC用暫定施設、23日オープン エアアジアが利用
・天井むき出しでコストダウン 成田LCC用暫定施設、12日供用開始
・成田空港の夏目新社長「環境変化に対応」 LCCターミナルは「できるだけ低コストに」
FSC
フルサービス航空会社(FSC)の国際線ネットワークも拡大した。日本航空(JAL、9201)が4月22日にボストン線、12月2日にサンディエゴ線を開設。全日本空輸(ANA、9202)は7月25日にシアトル線、10月15日にヤンゴン線、同28日にデリー線を開設した。
FSC国際線関連
・日航、787でサンディエゴ就航 大西会長も”現場復帰”
・全日空、成田-ヤンゴン線就航 全席ビジネスの737で
・全日空、成田-シアトル線開設 初便ほぼ満席
・日航、ボストン線就航 植木社長「私が操縦したかった」
また、13年4月1日から国際線の着陸料を航空機の種類に応じて平均5.5%引き下げ、手荷物の取扱施設使用料も101席以上の単価引き下げを行う。オープンスカイ(航空自由化)を控え、アジア地域での競争力強化を図る。
着陸料関連
・成田空港、国際線着陸料を平均5.5%引き下げ 4月から
ビジネスジェット
ビジネスジェットの受け入れ体制を整えるため、首都圏初の専用ターミナル「プレミアゲート」を3月31日にオープン。専用ルートを設けてプライバシーを確保したほか、専用のCIQ施設(税関・出入国管理・検疫)を用意し、出入国手続きをスピード化した。
ビジネスジェット関連
・成田空港、首都圏初のビジネスジェット専用ターミナルを公開 31日供用開始
記録更新
空港のさまざまな記録も更新された。12年冬期スケジュールで週間発着回数は過去最高を記録。総発着回数は週4140回、国内線は週810回、就航都市は海外99都市、国内12都市の計111都市で、乗り入れ航空会社数は79社となった。
旅客数は1978年の開港から33年9カ月目の2月6日に累計8億人を突破。貨物量は開港から34年7カ月目の12月7日に5000万トンを超えた。
このほか、国内最大級のデジタルサイネージ(電子看板)が6月から本格運用を開始。成田空港のスマートフォン用公式ウェブサイトやアプリケーションをリリースした。
記録関連
・成田空港、旅客数が8億人突破
関連リンク
成田国際空港