エアライン, 企業, 解説・コラム — 2012年12月25日 10:10 JST

寝具もこだわったJALスカイスイート、エアウィーヴ最上位をビジネスに

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 全クラスに新シートを導入した日本航空(JAL、9201)の国際線用ボーイング777-300ER型機の新仕様機「SKY SUITE 777(スカイスイート 777)」。2013年1月9日から成田-ロンドン線に就航する同機のビジネスクラスでは、「寝心地にこだわった」(開発を担当したJALの藤島浩一郎マネジャー、関連記事)シートを採用すると同時に、ビジネスクラスでは初めて寝具が導入された。

 採用された寝具はスポーツ選手などに愛用者が多く、2カ月待ちの商品もある「エアウィーヴ」。スカイスイート仕様のエアウィーヴの特徴などをエアウィーヴ社マーケティンググループの中西郁乃グループリーダーに伺った。

JALスカイスイート用枕を手にするエアウィーヴの中西さん=12年11月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

絡まった釣り糸から発想

樹脂素材でできているエアウィーヴ=12年11月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアウィーヴの素材は通常のマットレスで使用されるウレタンではなく、樹脂素材でできている。同社の社名は07年2月までは中部化学機械製作所で、釣り糸の製造装置などを手がけていた。ある時、釣り糸が絡まった状態からクッション材のイメージを得て04年から製造販売に参入。エアウィーヴの素材は06年に完成し、07年6月からマットレスの販売を開始した。

 特徴は高反発で寝返りが楽な点と、体重が一点に集中しないことだ。また、空気の量が全体の90%以上を占め、通気性が良く蒸れにくく、樹脂素材のため外側のカバーだけではなくマットレスそのものも水洗いできる。収納時も折りたためるため、場所をとらない。

 「低反発だと寝返りをする時に“よっこいしょ”と力が入ります。脳を使うため、眠りが浅くなってしまいます」と説明する中西さん。高反発な素材は自然な寝返りを妨げないそうだ。

エアウィーヴをビジネスクラス初の寝具として採用=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エアウィーヴを敷いたビジネスクラスのシート=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

最上位モデルをアレンジ

硬い部分と柔らかい部分が段差なくあるのが特徴のエアウィーヴ(同社提供)

 スカイスイートのビジネスクラスに搭載されるのは、「スカイスイート仕様エアウィーヴ S-LINE」という専用モデル。同社の最上位モデルである「S-LINE」を機内用にアレンジした。

 S-LINEは素材の編み込み密度を連続的に変えることで、1枚のマットレスの中に硬い部分と柔らかい部分が段差なくあるのが特徴。腰の周辺は硬く、肩と足の部分を柔らかくすることで背骨のS字カーブを立っている時と同様にキープするため、疲れがとれやすいという。

 スカイスイート仕様では、機内でもベッドに近い寝心地を目指し、マットレスの厚みを25mmにした。「空気の上で眠っているような快眠」をコンセプトに開発し、腰の部分を硬くするなど、基本的な構造は通常のS-LINEと同様にした。

枕に付けられたスカイスイートのシンボル(左)と、JALとエアウィーヴのロゴ=12年11月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 枕も両端と中央で堅さを変えた。枕にはシート素材が2枚入っており、好みに応じて高さを変えられる。

 素材を大型カッターで裁断後、職人が手作業でカットしているエアウィーヴの中でも、「S-LINEの“S”は一番良いSランクの意味と、S字カーブの両方を意味しています」と語る中西さん。スカイスイートのビジネスクラスがファーストクラスにせまる快適性を実現するため、同社の技術を結集して挑んだという。

 座り心地よりも寝心地にこだわったシートとともに、長旅でも快適に眠ることができそうだ。

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エアウィーヴ
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