日本航空(JAL、9201)の植木義晴社長は12月20日、都内で開いた会見で来年2013年の抱負について、「再建の真価が問われる」として2月に発表した16年度までの中期経営計画で示した各年度での営業利益率10%以上と自己資本比率50%以上の目標達成を目指す考えを示した。
「信頼回復には5年はしっかりした業績を出し続けなければならない」と述べ、各部門が収益の最大化とコストの最小化を行い、筋肉質な経営体質を目指すとした。また、安全運航の堅持を前提に、顧客満足No.1に向けた取り組みを本格化していくとし、「日本の伝統・文化を大切にしながらも、革新的な発想で新しい商品・サービスを提供する」と語った。
16日の衆議院議員選挙で自由民主党が圧勝した点については、「しっかりとした政治を続けていただきたい」と感想を述べるとともに、「今まで離島を含めて地方路線を十分やってきた。リージョナルジェットを運航する会社もあるので、機材に見合った路線を張りたい」との考えを示した。
11月30日に国土交通省が発表した羽田空港の国内線発着枠25枠の配分については、「(有識者会議の)委員の先生方は公正だったが、(議論の結果が)十分取り入れられなかった」と語り、国の支援がなければJALの再生はなかったとしつつも、破綻期間中の努力が認められなかった点を悔やんだ。一方、「後ろを振り返ってはいられない。3枠をいかに活用していくかを考えていく。前を向いていきたい」と述べた。
年明けに退任を予定している稲盛和夫名誉会長の退任時期については、「名誉会長自身が決められると思っている。3年間戦友のような感覚で過ごしてきたので、今後一切関係を絶つことは考えていない。何らかのアドバイスをいただける形を保っていきたい」と述べた。
また、3月に初号機を受領したボーイング787型機については、「35年間飛行機に乗ってきたが、最新鋭機を入れる時は初期故障がある。原因もわかっているので、新しい機体では改修されている」と語り、ユナイテッド航空(UAL)などの受領機で発生している電気系統などのトラブルについては、ボーイングを信頼していくと述べた。JALでは現在6機を受領しており、12年度中に10機体制とする計画を進めている。
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