神戸製鋼所(5406)は10月8日、同社のアルミ・銅事業部門で検査証明書のデータ改ざんがあったと発表した。三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」も同社製品を採用しているが、親会社の三菱重工業(7011)では問題がないことを確認したという。
神戸製鋼によると、検査証明書の改ざんが発覚した製品は、アルミ板やアルミ押出品、銅板条、銅管、アルミ鋳鍛造品。出荷期間が2016年9月1日から今年8月31日までのもので、アルミ製品が約1万9300トン、銅製品が約2200トン、アルミ鋳鍛造品が約1万9400個におよび、納入先は約200社あるという。
MRJを製造する三菱重工によると、今回の神戸製鋼によるデータ改ざんについて、三菱航空機が社内調査を実施したところ、MRJについては問題がないことを確認したという。
MRJは、メーカー標準座席数が88席の「MRJ90」と、76席の「MRJ70」の2機種で構成。エンジンはいずれも低燃費や低騒音を特長とする、米プラット・アンド・ホイットニー製のギヤード・ターボファン・エンジン(GTFエンジン)「PurePower PW1200G」を採用する。当初2013年だった納期は5度目の延期により、2020年半ばとなる見通しで、社内目標は2019年に照準を合わせている。今年6月に開かれたパリ航空ショーには、初めて実機(登録番号JA23MJ)を持ち込んだ。
受注状況は、ローンチカスタマーとして25機(確定15機、オプション10機)を発注したANAのほか、32機を確定発注した日本航空(JAL/JL、9201)など、7社から計427機を受注。内訳は、確定受注が約半数の233機で、残りはキャンセル可能なオプション契約が170機、購入権契約が24機となっている。
パリ航空ショー以降の動き
・三菱航空機、17年3月期純損失511億円 債務超過510億円、MRJ開発費かさむ(17年7月3日)
・「秋にかけて大変重要な時期」MRJパリ航空ショー初出展、水谷社長に聞く(17年6月26日)
・MRJ、パリ航空ショー初出展終え離陸(17年6月22日)
・三菱航空機、MRJパリ航空ショー到着動画公開 塗装工程も(17年6月26日)
・MRJ試験6号機、年内製造開始へ 水谷社長「スケジュールしんどくなる」(17年6月21日)
・MRJ、試験機の機内公開 水谷社長「将来のビジネスつなげたい」(17年6月20日)
・ANA塗装のMRJ、パリ航空ショー初出展 ル・ブルジェ空港で準備進む(17年6月17日)
・ANA塗装のMRJ、パリ到着 欧州初上陸、航空ショー初出展へ(17年6月16日)
・MRJ、外国人開発者600人体制 水谷社長「2強目指す」(17年6月13日)
・MRJ、パリ航空ショーでANA塗装機お披露目(17年5月26日)
・【スクープ】MRJ、ANA塗装でパリ航空ショー出展へ 3号機塗り替え(17年4月9日)
宮永社長直轄で対応
・三菱重工、17年3月期純利益37.4%増 宮永社長「完成機メーカー並みの企画力必要」(17年5月10日)
・三菱航空機、新社長に水谷常務 三菱重工・宮永社長「グループ全体でMRJ推進」(17年2月2日)
・「素材技術で差別化」特集・岐路に立つMRJ、問われる総合力(17年1月24日)
・MRJ、初号機納入2020年半ばに 5度目の延期(17年1月23日)