エアライン — 2017年9月20日 18:01 JST

17年訪日客、2000万人突破 45日早く達成、旅館の稼働率に課題

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 観光庁の田村明比古長官は9月20日、今年の累計訪日客数が15日に2000万人を超えたことを明らかにした。昨年と比べ、45日早く達成した。

今年の訪日客数が2000万人を突破したことを明らかにする観光庁の田村長官=17年9月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 昨年の訪日客数は、日本政府観光局(JNTO)が統計を取り始めた1964年以降、過去最高となる前年比21.8%増の2403万9000人だった。JNTOが20日に発表した8月の訪日客数は前年同月比20.9%増となる247万7500人となり、1月から8月までの累計は前年同期比17.8%増の1891万6200人となった。

 過去5年間を振り返ると、2012年が前年比34.6%増の836万8000人、2013年は初の1000万人超えとなる同24.0%増の1036万4000人、2014年が同29.4%増の1341万4000人、2015年が同47.1%増の1973万7000人で、2015年は1970年以来45年ぶりに訪日客数と出国日本人数が逆転。一方で、2016年の伸び率はこれらを下回る値となった。

 田村長官は「昨年の達成が10月30日だったので、45日早い」と述べるとともに、訪日客数の伸び率が鈍化傾向にあることについて、「当然ペースは落ち着いてくるので、この程度の変化は織り込み済み。団体客はひところの伸びはないが、個人客が増えている」と語った。

 外国人の旅行スタイルが団体旅行から個人旅行へシフトしたことや、これまでの官民を挙げた取り組みにより、訪日客に対する課題にも変化が見られるという。

 「従来は断トツで無料Wi-Fi環境の整備を求める声があったが、急速に整備が進んだ。一方、これまで2位だった(店員などとの)『コミュニケーション』が1位となり、交通機関の多言語表示を求める声が増えている。団体客だけを受け入れていた時には出てこなかった課題だ」(田村長官)と述べた。

 こうした訪日客急増により、ホテルの稼働率は7割から8割と高水準が続いており、大阪や札幌、福岡など大都市圏では日本人客がホテルを予約するのが難しいケースもみられる。一方で、旅館の稼働率は東京や大阪は高いものの、全国平均では3割台と低迷しており、宿泊客の分散が課題だ。

 田村長官は、「旅館に補助金を出して、多言語対応やトイレの洋式化を進めているが、ビジネスモデルの変革を考えないといけないだろう。1泊2食付き以外にも部屋売り(素泊まり)の料金を増やし、街で食事をして地域全体が繁栄するモデルや、旅館同士の協業など、いろいろなテコ入れが必要」と、旅館の意識改革の必要性に言及した。

関連リンク
観光庁
日本政府観光局

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