日本航空(JAL/JL、9201)は8月28日、国際線プレミアムエコノミーとエコノミークラスで提供する機内食の新メニューを発表した。才能ある若手料理人を発掘するコンペティション(競技会)「RED U-35(RYORININ’s EMERGING DREAM)」の歴代ファイナリスト6人が監修したメニューを、9月1日から3カ月ごと4回に分け、1年間提供する。
新メニューのうち、第1弾となる9月から11月までの秋メニューでは、中華料理と洋食を用意。中華は、2016年開催のRED U-35でグランプリを獲得した、四川料理店「スーツァンレストラン陳」(東京・渋谷)の井上和豊シェフが監修した「マイルドエビチリ 翡翠(ヒスイ)ライス添え」を提供する。エビチリを食べやすくマイルドに仕上げたという。
洋食は、ファイナリストで岸朝子賞を受賞した、ザ・プリンス パークタワー東京「レストラン ブリーズヴェール」(東京・芝公園)の桂有紀乃シェフによる「ハンバーグ パプリカのケチャップ風ソース フェットチーネ クリームソース」を用意。ハンバーグに赤パプリカを使った色鮮やかなオリジナルソースを合わせた。
—記事の概要—
・日本発エコノミー初の中華
・機内食きっかけに世界へ
日本発エコノミー初の中華
JALによる日本発便のエコノミーで、中華料理が登場するのは初めて。植木義晴社長は2012年の社長就任以来、「どうして中華がないんだ」と、世界三大料理の一つである中華料理のメニュー採用を熱望してきたという。
「中華を機内で再現するのは技術的に難しいが、(今回の採用は)中華を愛するものとしてうれしい」と喜んだ。
一方、和食は9月からの秋メニューで用意せず、12月から再開する。和食が2013年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録され、世界的に注目される中での判断について、植木社長は「1年中だと厳しいが、3カ月であればよいのでは」と話し、秋メニューのラインナップに自身を示した。
中華を担当する井上シェフは、「昔からはやっているエビチリと、サイドディッシュでは日本でも今はやりの“よだれ鶏”を取り上げた。伝統ある日本の中国料理を、多くの方に召し上がっていただきたい」と抱負を語った。
洋食の桂シェフは、「全体のバランスを考え、全部食べても重くないメニューにした。サイドディッシュの“リンゴのコンポート”も、砂糖がなくてもリンゴで甘さを出すようにした」という。
JALで機内食を担当する商品・サービス企画本部 開発部 客室サービスグループの綱島寛哲マネジャーによると、エビチリはさまざまな国籍の乗客がいることから、井上シェフのコンセプトを崩さずに、マイルドに仕上げたという。「国籍や年齢を問わず、満足していただける機内食を目指した」と話した。
また、メインディッシュの容器は、監修シェフとメニュー名をデザインしたシールで封じ、乗客がシェフとメニューにふれる機会を設けた。
機内食きっかけに世界へ
RED U-35は2013年にスタートし、今年で5回目を迎えた。JALが9月1日から提供するファイナリスト6人によるメニューは2018年8月31日までの1年間で、3カ月ごとに変更する。
井上・桂両シェフのほか、フランス料理「ラシーム」(大阪・瓦町)の藤尾康浩シェフが冬メニューの洋食、料亭「菊乃井 本店」(京都・下河原町)の成田陽平シェフが冬と夏メニューの和食、同じく菊乃井 本店の酒井研野シェフが春メニューの和食、「マルゴット・エ・バッチャーレ」(東京・西麻布)の加山賢太シェフが春メニューの洋食を、それぞれ監修する。井上シェフは、夏メニューでも中華を担当する。
植木社長によると、メニューの開発期間は約8カ月で、提供食数は年間160万食だという。今回のメニュー作りについて、「6人のシェフを応援できる喜びがある。中期経営計画でも、JALは“挑戦”という言葉を掲げている。6人が世界に羽ばたくきっかけをJALが作れれば幸せ。引き抜きが来るかもしれず、機内食をきっかけに羽ばたいて欲しい」とエールを送った。
提供するのは国際線中長距離路線で、29路線。成田発が21路線で、シカゴ、ダラス、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴ、バンクーバー、フランクフルト、ヘルシンキ、パリ、モスクワ、シドニー、メルボルン、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、デリー、ハノイ、ホーチミンシティー、バンコク、マニラ行き。羽田発は6路線で、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、パリ、シンガポール(JL037便)、バンコク(JL031便)行き、中部発がバンコク行き、関西発がロサンゼルス行きとなる。
また、昨年9月から成田発ホノルル行きで提供している、資生堂パーラーとコラボレーションした機内食「資生堂パーラー for Resort」を、9月1日以降も継続。契約を1年間延長し、2018年8月31日まで提供する。9月から11月までの秋メニューでは、「やわらかなビーフのブランケット 伝統のチキンライスを添えて」を用意する。提供路線は、成田発ホノルル行きとコナ行き。
関連リンク
エコノミークラス機内食(JAL)
RED U-35
szechwan restaurant 陳
レストラン ブリーズヴェール
La Cime
菊乃井 本店
Margotto e Baciare
JALの国際線機内食
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他社の国際線機内食
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