エアライン — 2017年8月28日 21:28 JST

JAL、若手有望シェフの国際線機内食 中華も登場、植木社長「世界に羽ばたいて」

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 日本航空(JAL/JL、9201)は8月28日、国際線プレミアムエコノミーとエコノミークラスで提供する機内食の新メニューを発表した。才能ある若手料理人を発掘するコンペティション(競技会)「RED U-35(RYORININ’s EMERGING DREAM)」の歴代ファイナリスト6人が監修したメニューを、9月1日から3カ月ごと4回に分け、1年間提供する。

JALが9月から提供する桂シェフ監修の「ハンバーグ パプリカのケチャップ風ソース フェットチーネ クリームソース」(左)と井上シェフによる「マイルドエビチリ 翡翠ライス添え」を手にする客室乗務員=17年8月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 新メニューのうち、第1弾となる9月から11月までの秋メニューでは、中華料理と洋食を用意。中華は、2016年開催のRED U-35でグランプリを獲得した、四川料理店「スーツァンレストラン陳」(東京・渋谷)の井上和豊シェフが監修した「マイルドエビチリ 翡翠(ヒスイ)ライス添え」を提供する。エビチリを食べやすくマイルドに仕上げたという。

 洋食は、ファイナリストで岸朝子賞を受賞した、ザ・プリンス パークタワー東京「レストラン ブリーズヴェール」(東京・芝公園)の桂有紀乃シェフによる「ハンバーグ パプリカのケチャップ風ソース フェットチーネ クリームソース」を用意。ハンバーグに赤パプリカを使った色鮮やかなオリジナルソースを合わせた。

—記事の概要—
日本発エコノミー初の中華
機内食きっかけに世界へ

日本発エコノミー初の中華

 JALによる日本発便のエコノミーで、中華料理が登場するのは初めて。植木義晴社長は2012年の社長就任以来、「どうして中華がないんだ」と、世界三大料理の一つである中華料理のメニュー採用を熱望してきたという。

JALが9月から提供する井上シェフ監修の「マイルドエビチリ 翡翠ライス添え」(左)と桂シェフによる「ハンバーグ パプリカのケチャップ風ソース フェットチーネ クリームソース」=17年8月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALの日本発便エコノミーで中華料理が登場するのは初めてと明かす植木社長=17年8月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「中華を機内で再現するのは技術的に難しいが、(今回の採用は)中華を愛するものとしてうれしい」と喜んだ。

 一方、和食は9月からの秋メニューで用意せず、12月から再開する。和食が2013年にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録され、世界的に注目される中での判断について、植木社長は「1年中だと厳しいが、3カ月であればよいのでは」と話し、秋メニューのラインナップに自身を示した。

 中華を担当する井上シェフは、「昔からはやっているエビチリと、サイドディッシュでは日本でも今はやりの“よだれ鶏”を取り上げた。伝統ある日本の中国料理を、多くの方に召し上がっていただきたい」と抱負を語った。

 洋食の桂シェフは、「全体のバランスを考え、全部食べても重くないメニューにした。サイドディッシュの“リンゴのコンポート”も、砂糖がなくてもリンゴで甘さを出すようにした」という。

 JALで機内食を担当する商品・サービス企画本部 開発部 客室サービスグループの綱島寛哲マネジャーによると、エビチリはさまざまな国籍の乗客がいることから、井上シェフのコンセプトを崩さずに、マイルドに仕上げたという。「国籍や年齢を問わず、満足していただける機内食を目指した」と話した。

 また、メインディッシュの容器は、監修シェフとメニュー名をデザインしたシールで封じ、乗客がシェフとメニューにふれる機会を設けた。

秋と夏メニューで中華を担当する井上シェフ=17年8月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

秋メニューで洋食を担当する桂シェフ=17年8月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

機内食きっかけに世界へ

 RED U-35は2013年にスタートし、今年で5回目を迎えた。JALが9月1日から提供するファイナリスト6人によるメニューは2018年8月31日までの1年間で、3カ月ごとに変更する。

 井上・桂両シェフのほか、フランス料理「ラシーム」(大阪・瓦町)の藤尾康浩シェフが冬メニューの洋食、料亭「菊乃井 本店」(京都・下河原町)の成田陽平シェフが冬と夏メニューの和食、同じく菊乃井 本店の酒井研野シェフが春メニューの和食、「マルゴット・エ・バッチャーレ」(東京・西麻布)の加山賢太シェフが春メニューの洋食を、それぞれ監修する。井上シェフは、夏メニューでも中華を担当する。

JALの国際線機内食新メニュー発表会見に集まった(左から)加山シェフ、酒井シェフ、井上シェフ、植木社長、桂シェフ、RED U-35審査員の落合シェフ、成田シェフ、藤尾シェフ=17年8月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 植木社長によると、メニューの開発期間は約8カ月で、提供食数は年間160万食だという。今回のメニュー作りについて、「6人のシェフを応援できる喜びがある。中期経営計画でも、JALは“挑戦”という言葉を掲げている。6人が世界に羽ばたくきっかけをJALが作れれば幸せ。引き抜きが来るかもしれず、機内食をきっかけに羽ばたいて欲しい」とエールを送った。

 提供するのは国際線中長距離路線で、29路線。成田発が21路線で、シカゴ、ダラス、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴ、バンクーバー、フランクフルト、ヘルシンキ、パリ、モスクワ、シドニー、メルボルン、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、デリー、ハノイ、ホーチミンシティー、バンコク、マニラ行き。羽田発は6路線で、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、パリ、シンガポール(JL037便)、バンコク(JL031便)行き、中部発がバンコク行き、関西発がロサンゼルス行きとなる。

 また、昨年9月から成田発ホノルル行きで提供している、資生堂パーラーとコラボレーションした機内食「資生堂パーラー for Resort」を、9月1日以降も継続。契約を1年間延長し、2018年8月31日まで提供する。9月から11月までの秋メニューでは、「やわらかなビーフのブランケット 伝統のチキンライスを添えて」を用意する。提供路線は、成田発ホノルル行きとコナ行き。

関連リンク
エコノミークラス機内食(JAL)
RED U-35
szechwan restaurant 陳
レストラン ブリーズヴェール
La Cime
菊乃井 本店
Margotto e Baciare

JALの国際線機内食
JAL、中国・香港・台湾線で九州メニュー 第1弾は大分・鶏天(17年5月28日)
JAL、モスの焼肉ライスバーガー サイドはポテコ(17年5月26日)
JAL、幻のシャンパン「サロン」2006年もの ファーストクラスで(17年1月6日)
JAL、資生堂パーラーと機内食コラボ ホノルル線でビーフシチュー(16年8月18日)

他社の国際線機内食
ANA、機内食人気No.1は「ビーフシチュー」と「牛すきやき丼」 12月から国際線登場(17年8月19日)
ANA歴代人気メニューと新作競演 機内食総選挙の試食会、ラーメン風ご飯も(17年7月29日)
カンタス航空、ノリタケの食器で軽量化 12月から(17年7月21日)
エールフランス、ミシュランシェフの機内食 パリ発ビジネス、9月まで(17年7月18日)
シンガポール航空、機内食で日本の家庭料理 創立70周年記念(17年5月31日)
ベトナム航空、ANA製の機内食 羽田発便、資本提携で(17年3月28日)
デルタ航空、アレッシィの食器導入 4月からビジネスクラス(17年3月15日)