全日本空輸(ANA/NH)は5月17日、東京・大田区内に訓練施設「総合トレーニングセンター(仮称)」を新設すると発表した。羽田空港周辺に点在している訓練施設を集約するほか、見学エリアの開設を検討していく。
トレセンは京浜急行の穴守稲荷駅から徒歩6分ほどの、大田区羽田旭町に建設。隣はヤマト運輸の物流施設「羽田クロノゲート」で、現在の訓練施設が同駅から徒歩15分ほどかかることから、鉄道利用時の利便性も高まる。
着工は7月、供用開始は2020年3月を予定。敷地面積は約3万3000平方メートル、建物面積は約5万9000平方メートルで、地上8階建て。飛行機の到着から出発までを想定し、運航に関わる全社員が合同で訓練できる施設にする。
パイロット向けには、実機と同様に訓練できる「フルフライト・シミュレーター」を設置。客室乗務員向けには、飛行中の揺れなどを再現できる、日本初導入の「モーションモックアップ」、ギャレー(厨房設備)やラバトリー(化粧室)などに実際の火を使用した火災状況を再現し、熱さを体感しながら対処方法を学ぶ日本初導入の「リアルファイヤーファイティングトレーナー」を設けるほか、日本のおもてなしを学ぶ「茶室」を新設する。
空港関連では、整備士など整備部門向けには、最先端のVR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術を活用した整備訓練施設、地上係員など旅客部門向けには、空港カウンターや出発ロビーを模した施設、グランドハンドリングなど貨物部門向けには、実際の特殊車両を使った貨物の搭降載訓練施設を設ける。
開設を検討している見学エリアでは、従来非公開としていたパイロット用シミュレーターや、客室乗務員用モックアップなどの訓練施設を公開し、安全への取り組みや歴史を紹介する。また、シートなどサービスを体験できるエリアも設置する。
ANAの平子裕志社長は、「競争力の源泉である人材育成には、攻めのコストとして投資する。2019年以降の羽田発着枠の増枠に向けて、備えを強化する」と、トレセン新設の意図を説明した。
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