中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社は、LCCターミナルを今年度内に着工し、2019年度上期に開業させる。スポット(駐機場)は10、年間旅客数は国際線300万人と国内線150万人の計450万人を計画している。
—記事の概要—
・利便性の高さと拡張性
・Flight of Dreams直結
・エアアジア・ジャパン就航未定
利便性の高さと拡張性
中部空港会社が3月31日に発表した計画によると、LCCターミナルはチェックイン棟とコンコース棟の2棟で構成し、いずれも2階建てで延床面積は約4万平方メートル。空港島南側の臨時駐車場エリアに建設する。
国際線と国内線を同じターミナル内で運用し、乗り換えのしやすさや旅客動線をわかりやすくすることで、利便性の高いターミナルにする。現在のターミナルからの距離は300メートルで、徒歩4分を想定。立体駐車場に直結させ、LCCターミナル前面にバス乗り場を整備する。交通アクセスの良さを重視することで、バスなら徒歩1分、立体駐車場からは徒歩2分、鉄道や高速船からは動く歩道を使うことで徒歩7分で利用できるという。
LCCターミナル内は1階を到着、2階を出発に分け、チェックインから搭乗口までは同じ階を移動するようにし、わからいやすさを追求。チェックイン棟で手荷物を預けた利用者に、コンコース棟で買い物をしてもらえるようにする。
スポットは航空機の自走出発が可能で、国際線と国内線の運用を切り替えやすくする。乗客が搭乗する際はエプロンルーフを設け、徒歩で機体に向かう。
10あるスポットのうち、エアバスA320型機やボーイング737型機など小型機を駐機できるのが9、エアバスA330型機など中大型機用が1。このうち、4つがマルチスポットで、小型機なら2機、中大型機なら1機駐機できるようにする。
ターミナルビルとエプロンの拡張用地も設け、マルチスポットを3つ拡張可能にした。
Flight of Dreams直結
中部空港会社は、ボーイング787-8型機の飛行試験初号機(ZA001、登録番号N787BA)を展示する複合商業施設「Flight of Dreams」(フライト・オブ・ドリームス)を、2018年夏に開業予定。付近には、展示面積6万平方メートルの愛知県国際展示場が2019年秋までにオープンする。
LCCターミナルは、Flight of Dreamsと直結し、国際展示場とは空中回廊で結ぶ。国際展示場への所要時間は徒歩5分を想定し、空港島南側を新たな商業地域としてにぎわいを創出する。
工事はエプロンエリアの地盤改良工事から着手。ゴールデンウィーク明けから臨時駐車場の一部が工事区域になり、利用できなくなる。ターミナルビルは、今年度下期の着工となる見通し。
エアアジア・ジャパン就航未定
現在4社ある国内LCCのうち、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)のみ就航。国内線は札幌と福岡、鹿児島、那覇の4路線、国際線は台北とマニラの2路線を運航している。
中部を拠点に、日本への再参入を目指すエアアジア・ジャパン(DJ)は、今年初めの就航を目指していた中部-札幌線と、今春予定の中部-台北線について、就航を延期すると1月30日に発表。新たな就航時期は未定としている。
海外のLCCは5社で、中国の春秋航空(CQH/9C)と香港の香港エクスプレス航空(HKE/UO)、台湾のタイガーエア台湾(TTW/IT)、韓国のチェジュ航空(JJA/7C)、フィリピンのセブパシフィック航空(CEB/5J)が乗り入れている。
関連リンク
中部国際空港 セントレア
・エアアジア・ジャパン、就航時期未定に 安全体制構築で(17年1月30日)
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・中部空港、LCCターミナル19年度開業へ エアアジア就航課題(16年4月1日)