全日本空輸(ANA/NH)は2月14日、雷が落ちた部位の点検など機体の整備作業にドローンを活用する実証実験を、ソニー(6758)などが出資するエアロセンス(東京・文京区)と共同で実施した。伊丹空港の格納庫前に駐機したボーイング787-8型機(登録番号JA801A)の上をドローンが飛び、機体を撮影した。
機体が被雷した際にできた傷やへこみは、現在は整備士が高所作業車に乗り、目視検査している。機体の上をドローンが飛行して撮影し、エアロセンスのドローン技術を活用して画像を解析する。ドローンを活用することで検査精度と整備品質を向上させ、点検時間を短縮することで、運航便の遅延や欠航の発生を抑えるようにしていく。
機体上空を飛ばす実証実験に先立ち、1月25日に、庄内空港のランプエリアで機体がない状態で検証。ランプエリアでドローンを飛ばす際の特性を把握した。
14日は、ANAホールディングス(9202)が出資する整備会社MROジャパンが伊丹空港に構える格納庫で検証。787の全高とほぼ同じ地表から16メートルと20メートルの高さを、ドローンが秒速1メートルで13分間飛んだ。
ドローンには、787の上空を飛行するルートをプログラムして自律飛行させ、搭載したカメラが機体外観を撮影した。3月にも伊丹で機体上空を飛ばして検証を進め、庄内空港での本格検証を目指す。
今回使用したドローンは、エアロセンスの自律型マルチコプター「AS-MC-02P」。GPSや慣性センサーにより、自律飛行制御を実現している。搭載したカメラはソニー製デジタルカメラ「DSC-QX30」で、有効画素数約2040万画素の1/2.3型CMOSセンサーで撮影する。撮影した画像データは操作用ノートパソコンを介してサーバーへ送られ、データ解析が行われる。
ANAでは今後、運用ルールやシステムを構築し、2021年以降の本格運用を目指す。ANAによると、今回は787を製造するボーイングと連携した検証ではなく、今後結果を報告し、ボーイングとドローンを使った整備のあり方を検討していくという。
一方、機体メーカー単独の動きでは、エアバスが機体製造や整備時のドローン活用の検証を進めている。
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